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知的人材が支えるニュージーランドの
起業熱とスモールビジネス
written in 2011/8/10

 日本では自営業や会社経営を辞める「廃業率」が、新規で事業を立ち上げる「開業率」を上回っていることは、統計からも明らかになっている。その理由は、高齢化する経営者よりも、これから起業しようとする若者のほうが少ないためだが、これは少子高齢化の傾向からすれば、必然の流れといえる。

経営者が少なくなることは、従業員の求人数が減ることとも重なるため、何とかして開業率を高めることが急務の課題である。日本には 420万件の会社があるが、その中で、大企業が占めるのは0.3%に過ぎず、残りの 99.7%は中小企業であることから、日本で元気なスモール起業家が出て来ないようでは、国内の経済は衰退してしまう。

雇用にしても、国内労働者の7割を支えているのは中小企業であり、大学新卒者の求人では、意外にも、従業員が3百人以下の企業では、求人意欲が非常に旺盛だ。しかし、学生のほうが“小さな会社”を敬遠しているために、就職先が見つからないというミスマッチが起きている。

《企業規模別にみた大学新卒者の求人倍率》

  

ホンダやソニーにしても、創業当初は社員数名の町工場だったことからすれば、まずは、スモールビジネスの創業者を増やすことが、未来の大企業を育てることに繋がるのは間違いない。しかし、いまの経済情勢からすると、一家の大黒柱が脱サラをして起業することはリスクが大きいことは事実であり、従来とは違った角度からの創業モデルを提唱していくことが、国の施策としても重要だろう。

そこで、他の先進国が推進しているのが、女性に対する起業支援である。もともと欧米では、働いている女性の割合が高くて80%を超えている。しかし、仕事と家事や子育てとの両立を重視するワーク&ライフ・バランスの観点からも、会社に勤めるよりも、起業して自分のビジネスを持つことが推奨されるようになってきた。

日本でも、女性の就業率は、昔と比べれば上昇してきているものの、平均賃金で比較すると男女の格差は歴然としている。法律では、男女の雇用条件が平等になっているが、女性は家事や育児の都合により、正社員の立場を維持することが難しく、一度離職してしまうと、再就職した後は低い賃金のままは働き続けるしかないのが実情である。

《サラリーマン平均年収の推移》

  

こうした状況を踏まえると、日本でもこれから起業を支援すべき対象は、男性よりも女性のほうだという考え方もできる。非正社員という立場であれば、会社勤めと起業(自営業)とによる二足のワラジを履くことも可能で、スモールビジネスにチャレンジする方法は色々とあるはずだ。

そこで今回は、女性のスモールビジネスが活発に起こっている「ニュージーランド」の動向について紹介してみたい。ニュージーランド(NZ)は気候が温暖で治安も良いことから、日本からも移住希望者が増えているが、国としても積極的な移民受け入れの政策を進めており、じつはそれがNZ国内の起業ブームとリンクしているのだ。


【零細企業が支えるニュージーランド経済】

 日本で「中小企業」というと従業員が300人未満の会社を指しているが、ニュージーランドの中小企業は「Small and Medium-Sized Enterprises(SME)」と呼ばれており、経済開発省の定義では、「19人以下の 従業員を抱える企業」とされている。

2010年7月に同省から発表となった報告書 「SMEs in New Zealand: Structureand Dynamics 2010」によれば、NZ国内全企業のうちSMEが占める割合が2009年には 97.2パーセント(46万3,278件)で、ほとんどの会社が、日本でいう“零細企業”である。OECD諸国の起業について調査・比較した統計の中でも、ニュージーランドは従業員が9名以下の会社が9割を占めていることがわかる。

ニュージーランドの国土面積は、日本のおよそ4分の3だが、人口は 430万人で、日本よりも人口密度は遙かに低い。同じオセアニア地域の隣国で、資源国のオーストラリアと比べられることが多いが、小国のために、原油や金が豊富に産出されるわけではない。古くからNZ経済を支えているのは農業であり、それに加えて最近では、ハイテク分野の頭脳産業が栄えてきている。

農業にしても、GPSを搭載したトラクターを遠隔操作するようなハイテク化が進んでいたり、家畜の免疫力を高めて伝染病を防ぐようなバイオ技術でも世界トップクラスの水準にある。さらに近頃では映画産業でも、有能な映画制作会社や映像編集のプロダクションが登場して、ヒット作を生み出している。

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この記事の核となる項目
 ●ニュージーランドの移民政策と起業の接点
 ●スモールビジネス中心のニュージーランド企業
 ●起業支援を促すメンターの役割と体制
 ●ニュージーランド・メンター制度の仕組み
 ●母親として起業するマムプレナーの台頭
 ●オーガニック原料で高級離乳食を開発したマムプレナー
 ●ヘルシーな家庭料理を支援するマムプレナー
 ●母乳保育のコミュニティを育てるマムプレナー
 ●ダブルインカムを狙った家族法人による副業と家業の作り方
 ●米国女性の旺盛な社会進出を支える保育サービスと出生率
 ●優秀な社員に時間報酬として与えられる在宅勤務制度の動き
 ●働く母親の増加で浮上する小学生を対象にした放課後教育市場


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