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  東京都心のオフィス空室率は上昇を続けて、家賃単価を値下げしないと入居者が決まらない状況。それに伴い、余剰スペースを個人の開業者に提供するレンタルオフィスやシェアオフィス事業が成長してきている。
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社内の余剰スペースを収益化する
シェアオフィス仲介ビジネス
written in 2011/2/22

 会社を経営するにあたり、オフィスの環境を整えることには気を遣うものだ。従業員が快適な環境で働けるほど、仕事のモチベーションは高くなるが、これは給料の高さに匹敵するくらいの価値がある。求職者が重視している条件でも、「どんなオフィスで働けるのか」は優先順位が高い項目である。

そのため、上場を目指すベンチャー企業のように、これから有能な人材をたくさん採用したい会社は、多少無理をしてでも、立派なオフィスを構えたほうが良い効果があるのは事実。しかし、新規でオフィスを借りて維持していくには、入居時の保証金、月々の家賃+諸々の経費がかかるため、資金面の負担は決して軽くない。

オフィスビルのフロアーを借りるには、保証金や敷金の名目で、家賃の半年〜1年分を大家側に預託するのが慣習になっており、東京都心の最新鋭オフィスビルで、フロアー面積が 100坪の物件を借りのであれば、2千万円近くを覚悟しておく必要がある。賃貸とはいえ、本格的なオフィスを構えるために、銀行からの資金調達(融資)を受けているケースも珍しくない。

しかし、会社の業況は刻々と変化して、従業員が増えたり減ったりを繰り返している。特に2008年以降は、それまで好況を維持してきたIT業界でも、システム開発やネット広告の受注量が大幅に減ったことによる売上の減少で、オフィスの縮小をする会社が相次いでいる。

そのため、ビルのオーナー(大家)としても、家賃や保証金の値下げをしているような状況で、それでも空室が目立つようになってきた。事務所物件の仲介を専門に行っている三幸エステート株式会社と、シンクタンクのニッセイ基礎研究所が共同調査した東京都心の賃料相場によると、家賃相場のピークだった 2007年
(2.9万円/坪)と現在を比較すると、驚くことに43%も下落している。地方都市におけるオフィス需要の低迷は更に深刻で、築年数が3年前後の新しい物件でも、空室率が15〜20%を超してきている。

《東京都心、大規模ビルの賃料と空室率の推移》

  

では、働く社員にとっての快適性はどうだろうか?近年のオフィスビルは高層化、大規模化が進んで1棟あたりの延床面積は増えているものの、社員1人あたりが使えるスペース(床面積)でみると、平均12平米(約3坪)といういう狭さ(自分の机の他、会議室や応接室も含める)で、十年前よりも、およそ1坪縮小しているのだ。

つまり、好立地の立派なビルにオフィスを構えていても、社員1人あたりのスペースでみれば、必ずしも快適な空間とは言えないようで、それが現代のサラリーマンが抱えているストレスの一因にもなっている。

《オフィスワーカー1人あたりの床面積推移》

  

経営側でも、オフィスの適正スペースを社員1人当たり2〜3坪で計算していることが多いが、それは入居時に「これから増える社員の数」を見込んだギリギリの試算であり、実際には入居から数年で手狭になってしまうケースが大半だろう。しかし、業務の内容が次第に知的化していく中では、社員ができるだけストレスを感じること無く、仕事に集中できるスペースを用意することが必要になってくる。

そこで、新たな需要が見込まれるのは、もっと柔軟にスペースの増減ができるような新タイプのオフィスや、個人で仕事をしたい知的ワーカー向けのスペースである。以前からも、ブースで仕切られた机一つ分の区画をレンタルできる“SOHOオフィス”の形態はあるが、最近ではネットの環境が充実してきたことで、デスクワークだけなら自宅でも事足りてしまう。

しかし、これからのビジネスマンやスペシャリストが“仕事場”に求めるのは、単に机を置く場所ではなく、それにプラスされた、専門職向けの機能や、同僚や仲間との新たな繋がり方ができるスペースであり、欧米では、クラウドサービスやソーシャルネットワークの活用を前提とした、知的ワーカー向けのオフィスが登場してきている。その動向を探りながら、日本でも成り立つオフィス賃貸業の新モデルを考えてみたい。

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この記事の核となる項目
 ●余剰スペースを収益化するシェアオフィス
 ●オフィスシェア仲介の収益モデル解説
 ●欧米で増えるコワーキング・オフィスとは
 ●会員制コワーキング・オフィスの採算
 ●コワーキング・スペースの作り方
 ●事例:ITエンジニア向け時間課金制コワーキング・オフィス
 ●美容師向けミニサロンのレンタル事業
 ●法人契約を狙える郊外型テレワークセンター
 ●クラウドで育成される専門人材とバーチャルオフィス
 ●副業として家賃収入を得る大家業の実態と物件管理の業界構造
 ●マイホームをシェアすることで住宅ローンをゼロにする方法
 ●米国政府が仕掛ける公務員の在宅勤務制度と新オフィス構想
 ●安い家賃で優雅に暮らすルームシェア・ゲストハウス
 ●フリーエンジニアとしての起業スタイルと単価設定の考え方


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