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  小売業の利益率が下落の一途を辿る中で、モノを売るのではなく、貸す、またはシェアシリングすることへの人気が高まっている。従来の小売業者は、シェア仲間のマッチングや、モノの管理やメンテナンスで収益を得るビジネスモデルへの転換が求められている。
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小売業→レンタル→シェアリングサービスへの
ビジネス転換
written in 2011/2/1

 日本で自動車(新車)が売れる台数は、普通車と軽自動車を合わせると年間でおよそ 500万台。これはエコカー補助金によるマイカーの買い換え需要が喚起された 2010年の数字だが、それでも十年前よりも100万台近くも落ち込んでいる。

自動車市場の落ち込みは、他の先進国にも共通する傾向で、2008年から2009年にかけては、生産台数で13.5%も減少した。中国以外では軒並み、自動車が売れなくなってきており、このままでは各メーカーの存続も危ぶまれている。電気自動車(EV)に起死回生を賭けているものの、自動車に対する消費者の購買欲が完全に回復することは難しそうである。

《世界の自動車販売台数(乗用車)》

  

その一方で急成長しているのは、自動車を“所有”ではなくて“共有”するカーシェアリングサービスである。米ボストンで2000年に創業した「Zipcar(ジップカー)」は、当初14台のクルマを 約400名の会員で共同利用することからスタートしたが、現在では、米国の他に、カナダ、英国にまで進出して、会員数は50万人、車両数8千台のネットワークにまで成長している。会員の半数はマイカーを所有していない人達で、カーシェアリングサービスの普及が、着実に“脱マイカー”のドライバーを増やしている。



Zipcarの利用体系は、年会費60ドルで会員となり、IDカードの発行を受けると、その後は、各地に駐車されているシェアカーの所在と利用状況をパソコンやスマートフォンから確認、希望する日時に予約を入れておけば、当日はIDカードをかざすだけでロックが解除されて、自由にドライブを楽しむことができる。返却の手続きも無人化されているため、レンタカーのような煩わしさはなく、マイカーに近い感覚で利用できるというもの。

具体的な利用料金は車種によって異なるが、ホンダのシビックで1時間あたり9ドル、24時間の利用で 69ドル(180マイル以上の走行は超過料金)の設定になっている。この中にはガソリン代と保険代も含まれるため、週末にしか車を使わないような人であれば、マイカーを購入して維持するよりも、シェアのほうが得だという価値観が欧米で広がっている。

■Zipcar
  http://www.zipcar.com/

《マイカー所有とZipcar利用のコスト比較》

  

元を辿ると、カーシェアリングは、従来のレンタカーサービスを高機能にしたもので、それまでは半日〜数日の単位で、決められた店舗でしか借りられなかった車を、最寄りの駐車場から時間単位で自由に利用できるようにしたものである。予約のタイミングは、9割以上の人が当日に外出する時刻の数時間前である。そのことからすると、シェアリングサービスは、他の分野においても「レンタルサービスを進化させる」という発想で、色々と考案することができる。

「モノを売る」ことが仕事の、小売業については、利益率が限界まで下がってきており、単純に“仕入れた商品に粗利を加えて売る”というビジネスが成り立たなくなっているが、シェアリングサービスについては、黎明期にあたるため、これから様々なビジネスを生み出すことができる。そこでシェアリング事業の基本となる採算の考え方や、共同利用者に対する権利の与え方について、今回は掘り下げてみよう。

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この記事の核となる項目
 ●1台あたりの共有人数で決まるカーシェアリングの採算
 ●往路と復路に分けたシェアカーの利用方法
 ●Zipcarによるカーシェアリングの特徴
 ●提携・合併へと向かうカーシェアリング業界
 ●資金調達がキモとなるカーシェアリングの事業モデル
 ●分割所有方式によるシェアリングモデル
 ●多分野に広がる共同所有クラブの仕組み
 ●時間の価値を加えたタイムシェアリングの発想
 ●開発費の負担率で考える知的財産のシェアリング
 ●マイホームをシェアすることで住宅ローンをゼロにする方法
 ●安い家賃で優雅に暮らすルームシェア・ゲストハウスの台頭
 ●脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
 ●スーパーカーを切り売りするビジネスモデルの研究


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