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ゲーム理論で動く才能集団の利害関係に
基づく協業ビジネス
written in 2010/11/16

 職場で「あの人はタヌキだからなあ」という噂が立てば、周囲を煙に巻いた立ち振る舞いばかりして、腹の中は結構黒そうだ、という意味が含まれていている。一方、組織の中では変わり者でも、秀でた才能を持っている人のことを、米国では「スカンク」と呼ぶことがある。もともとは、違法な密造酒を作っていた地下工場が語源になっているようだが、へそ曲がり者達が集まった天才集団の「スカンク・ワークス」は、世界的にも有名な存在になっている。

これは、米航空機メーカーのロッキード社が、最新鋭の戦闘機を開発するために結成させた秘密開発チームの名称で、斬新な発想と技術により、新時代を切り開くような機体の開発に取り組んでいた。その代表作が、敵のレーダーに探知されない、世界初のステルス戦闘機である。

スカンク・ワークスは、ロッキード社内にある従来の組織とは離れて、自由な研究開発を進めていた少数精鋭のチームであることから、現在では、他の業界においても、秘匿性のある新製品開発などを目的に、独立した才能集団として結成されたチームの総称が“スカンク・ワークス”と呼ばれている。



官僚的な組織には馴染まない厄介者であることがスカンクの特徴だが、世間をアッと言わせるような新技術の開発では、彼らのような才能が欠かせない。特に近年では、オリジナリティや個性の尖った商品がヒットする傾向が顕著であることから、異端な才能は大切にしなくてはいけない。

しかし、旧態然とした会社の中では、突出した才能を持つ者ほど辞めてしまい、社内に残っているのは、旧優等生タイプの保守的な人材ばかりという例が少なくない。優れた技術者やクリエイターとしての才覚があれば、独立しても様々な食い扶持を作れる時代が到来しているため、組織からの才能流失は増えているのだ。

彼らは知的プロとして、個のワークスタイルを好む傾向があるが、案件によっては、一人では手に負えない規模の仕事もあるため、何らかの形でチームやグループに所属する必要もある。ネット社会でいえば、それがコミュニティやソーシャルネットワークへの参加になるわけだが、ビジネスとしての利用に今ひとつ馴染まないのは、メンバー間の利害関係を尊重することが難しいためだろう。

スカンク・ワークスのような才能集団は、仕事の成果による相互の利害を認めた上での、協力や信頼関係が成り立っているところが、無償で平等な立場による参加を前提としたコミュニティとの相違点。そして面白いのは、利益獲得と協調とのバランスが、意図的に決められたものではなくて、フェアな競争によって維持されていることである。知的プロ達のチームは、金銭を賭けてカードゲームをする仲間にも似ているが、彼らは、どんな協業ビジネスのモデルを築き始めているのかを見ていくことにしよう。

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この記事の核となる項目
 ●ビジネスの現場に生じる協調と裏切りの選択肢
 ●ゲーム理論を応用したビジネスにおける信頼関係の作り方
 ●ネットコミュニティにおける人間関係の法則
 ●バンドが売れるとメンバーの仲が悪くなるのは何故か?
 ●新たなバンド形態による音楽才能の集まり方
 ●バーチャルバンドの活動スタイルと収益モデル
 ●ミュージック・コラボレーションのオンラインスタジオ
 ●会社組織からスカンク・ワークスへの転換
 ●仮想チームによる翻訳作業の進め方
 ●コラボレーション・ワークの収益分配ノウハウ
 ●コラボレーションの数だけ増える契約の種類
 ●クラウドで育成される専門人材とバーチャルオフィス
 ●組織には頼らない米タレントの求職活動とオーディション市場


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