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タダ飯をふるまうレストランと
食い逃げをする客の駆け引き
written in 2010/10/17

 いまでは昼食の弁当も、5百円では高すぎて、3百円台の競争が熾烈になっている。それに伴い外食業界でも、牛丼チェーンの各社が2百円台からのメニューを用意して集客力を高めようとしている。「すき屋」では、客単価は昨年よりも10%近く下げているものの、来店客数は1.2〜1.5倍に伸びて、トータルの売上高では増益を達成。値引きのインセンティブが功を奏した形だ。

こうした状況に焦りを感じているのは、個人経営の飲食店や、中小のレストランで、マンネリのメニューで中途半端なサービスを続けていても、客数は減少していくばかりである。そこで、いま話題になっているグルーポン系のサービスを使うのはどうか?という話も増えてきた。

定価よりも半額以下にディスカウントされた割引クーポン券が共同購入方式で買える「グルーポン」のビジネスモデルは、瞬く間に世界へ広がり、日本でも今年の5月頃から類似の“グルーポン系サイト”が登場しはじめて、いまでは50社以上が存在しているようである。

本家の米グルーポンは、2008年11月にシカゴでサービスを開始したが、2年も経たない2010年8月には、29ヶ国 230以上の都市にまで拠点を広げて1300万人以上の会員ユーザーを獲得、クーポンキャンペーンを展開する企業クライアントは3万5千社以上になる。

しかし、グルーポンのビジネスに死角が無いわけではなく、実際にグルーポンを利用した消費者から、苦情や問題点がコミュニティに書き込まれることも多くなっている。たとえば、エステサロンのクーポンを45ドルで購入して施術を受けたところ、結局はオプションサービスを加えられて90ドルの請求をされた話や、クーポン購入後に、自分が都合の良い日に予約がなかなか取れないまま有効期限が経過してしまった話などがある。

クーポンで受けられるサービスの内容と、割引適用外となる付加サービス、免責事項などは細かな時で書かれているものの、それを十分に理解している消費者ばかりではないため、期待を抱いて来店したところ、思い通りのサービスが受けられなかった時の失望感は大きい。

店や業者にとって、グルーポン系サイトを利用することの利点は、初期費用無しでキャンペーンを実施して集客できることだが、実際にクーポンが売れた金額に対して20〜50%もの高い成功手数料を支払う仕組みのため、それが集客の常套手段になると、提供する商品やサービスの質や原価を見直さなくてはいけないことになってしまう。

《グルーポン系サイトによる集客コスト(成功手数料50%の場合)》

  

そのため、商品やサービスの質を落としたくない、古くからの常連客を失望させたくないと考える老舗の店では、割引による集客には否定的で、それとは違う方法を求めている。消費者の中でも、値引きと品質の低下がトレードオフであるのなら遠慮したいという客層は、確かに存在している。特に、品質が安全性に直結する、食品や飲食サービスの分野ではその傾向が強くて、欧米では「ノーフリーランチ」のムーブメントも起こっている。

フリーランチとは、「ランチは無料です」と宣伝するレストランが、じつは客に割高な酒を提供して儲けていたことから語られる古い格言で、「本当にタダの商品があるわけではない」という意味を示している。その反面、ネットビジネスの世界ではフリーのサービスが主流であり、その波が次第にリアルビジネスにも及んでデフレが進行しているが、経営者としてはどちらの道へ進むべきなのか、今回はレストランのビジネスモデルを事例にして考えてみたい。

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この記事の核となる項目
 ●19世紀のフリーランチ・ビジネスモデルに学ぶ教訓
 ●現代版フリーランチ・サービスの駆け引き
 ●ファーストフードからスローライフへの回帰
 ●コンビニ客単価の推移からみた値下げのトリック
 ●コンビニ弁当を食べないヘルシー志向の消費者層
 ●エリート客を取り込むサスティナブル・レストランとは
 ●英国におけるサスティナブル・レストランの特徴
 ●顧客との関係を長持ちさせるレストランのビジネスモデル
 ●フリーダムフードの考え方とヘルスフードレストランの新業態
 ●急成長するダイエットプログラム付きの給食ビジネス
 ●信用を起点としたレストランの新格付けビジネス
 ●ローカル広告市場を席巻するグルーポンビジネスの正体
 ●エコとエイリを共存させた循環型ビジネスモデルの再構築
 ●米国が仕掛けたベジタリアン育成と食生活のエリート人材
 ●ヤワな日本人には太刀打ちできない一触即発の食糧危機
 ●水危機の到来に向けた「水を売るビジネス」の布石と死角
 ●カロリーデータベースを起点とした食ビジネスの集客経路


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JNEWS LETTER 2010.10.17
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