注目の新規事業テーマ
  
Top > 注目の新規事業テーマ
  正当に賃金が払われていない、サービス残業代の請求代行ビジネスが増えている中で、従業員の勤務体系や従業規則を見直す動きが会社側に出始めている。労働の時間数ではなくて、仕事の成果で報酬額を決める給与体系への変化は、主にホワイトカラー職で進んでいる。
JNEWS LETTER
2週間無料体験購読
配信先メールアドレス

Counter
ソーシャルブックマーク
JNEWS.com を Yahoo!ブックマークに追加 Yahoo!ブックマーク
JNEWS.com を はてなブックマークに追加 はてなブックマーク
JNEWS.com を livedoorクリップに追加 livedoorクリップ

RDF

twitter

Google

WWW を検索
JNEWS.com を検索
サービス残業請求ビジネスが変える
職場のワークスタイル
written in 2010/7/18

 一日の労働時間が「8時間」と決められるようになったのは、20世紀半ばからのことで、それ以前は、1日に13時間以上の長時間労働が強いられていた。18世紀後半から起こった産業革命では、工場を長時間稼働させるほど収益性は高くなるため、手工業の時代よりも従業員の労働時間は、逆に長くなっていたのだ。

そうした中、世界でもっとも早く「1日8時間」の労働体系に改善したのは、1900年代前半の自動車メーカー経営者、ヘンリー・フォードと言われており、労働時間を短くする大胆な改革を行った。それまでの経営者は、「従業員を低い賃金で、長く働かせるほど会社は儲かる」と考えていたが、フォードは「労働者=消費者」という新たな発想を持ち、魅力的な報酬と自由時間を与えることが、やがて自社の利益として還元される(従業員に自社のクルマを購入させよう)と考えたのである。

この発想は、現在の会社経営にも踏襲されているが、当時と比べると現在では様々なワークスタイルが実現できるため、時間数だけで労働の価値を計ることは難しくなっている。統計上の労働時間でみれば、いまの日本は昭和30年代と比べると2割以上も短くなっているが、実質的な“忙しさ”から言えば、昔よりも今のほうが厳しさを増していることだろう。

《年間でみた実労働時間数の推移(日本)》

  

そもそも“労働時間”という定義さえも、いまでは曖昧だ。実績が問われるホワイトカラー職では、残業した時間数がすべてカウントされないのが通例のため、上表の統計は偽りの数字とみることもできる。

ITの進化により、どこからでも仕事ができるようになったことによる労働環境の変化は、労働者の仕事を楽にするものではなくて、会社で昼間できなかった仕事を、家に持ち帰って片づける、新たなサービス残業を増やしていると嘆くサラリーマンは少なくない。

いわゆる“自宅残業”に対して、会社が賃金を支払う必要があるのか否かは、裁判でも争われているテーマだが、上司から暗黙の指示があったのか、それとも本人の自主的な意志で行われたものなのかで、判断は分かれている。さらに体は静養中でも、頭では常に仕事のビジョンやアイデアを考えている知的職種となれば、正確な労働時間を計ることは不可能に近い。

そこで今後のワークスタイルは、「一日に○時間」と杓子定規に決めるのではなく、自分の体調や家庭の都合に応じて、最も効率的な時間の使い方を組み立てていく必要がある。欧米では、自分の労働時間を「時間口座」の中に蓄えておき、忙しい時に融通できる働き方が普及しているが、その背景にはどんな社会事情があり、労働の在り方が変わろうとしているのかを探っていくことにしよう。
注目の新規事業一覧へ

この記事の核となる項目
 ●サービス残業訴訟が変える企業のワークスタイル
 ●サービス残業請求代行業者のビジネスモデル
 ●残業の疲れを翌日に残さない勤務間インターバル制度
 ●1日8時間労働の呪縛から逃れる変形労働時間制の働き方
 ●残業時間をプールする時間貯蓄口座の仕組み
 ●ワークライフバランスで考える時間の価値
 ●生活全体で捉えたワークライフバランス収支の考え方
 ●通勤時間の解消と在宅勤務制度の普及動向
 ●テレワークからマイクロ起業への潮流
 ●少子高齢化で求められるワークスタイル改革の切迫した事情
 ●欧州企業が推進するテレワーカー育成と社会保障問題の接点
 ●ちょいワルオヤジブームを見習うワーキングマザー市場の作り方


この記事の完全情報はこちらへ
JNEWS LETTER 2010.7.18
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。

■この記事に関連したバックナンバー
 ●企業が抱えるサービス残業問題と深夜労働にかかるコスト
 ●モノ売りから時間売りへの転換〜時間消費型サービスの視点
 ●早起き人口に向けた早朝ビジネスの商機とロングテール客
 ●労働市場に起こる需給バランスの異変と学歴デフレの実態
 ●シングルタスクからマルチタスクへ変わる時間管理と働き方
 ●優秀な社員に時間報酬として与えられる在宅勤務制度の動き