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  米国の雑誌は定期購読の契約をすると、6〜8割引になることもある。これは購読部数をできるだけ伸ばして、広告収入を増やそうとする策によるもの。この収益モデルは、早くも電子書籍にも導入されてきており、水面下での値引き競争がはじまっている。
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広告に翻弄される「雑誌」の収益構造と
電子マガジンの行方
written in 2010/5/27

 少なくとも昭和世代の人であれば、新しい流行や趣味の知識を入手する情報源として「雑誌」を愛読してきたはずである。少年時代には、雑誌の発売日にワクワクと胸を躍らせながら記事の活字を追いかけたものである。ところが最近では数十年の歴史ある雑誌の休刊(廃刊)が相次いでおり、このままでは雑誌文化が消滅してしまうことも危惧されている。

《2009年以降に休刊を発表した雑誌例》

  2009年以降に休刊を発表した雑誌例

休刊まではいかなくても、最盛期よりも販売部数が半分から三分の一に落としている雑誌は少なくなく、それも特定の範囲ではなくて、すべてのジャンルに当てはまっている。雑誌の収益構造は「購読料と広告料」の二本立てによって成り立っているが、大まかにいえば、雑誌の制作コストを購読料収入で賄い、広告料を利益として得られるのが理想。それが、読者と広告収入、両方の減少により雑誌のビジネスモデルは崩壊寸前といった状況だ。

その背景には、ネットから様々な情報が入手できるようになったことがあるが、世の中で雑誌の存在価値がまったく無くなってしまったわけではない。そもそも「雑誌」とは、定期的(週刊や月刊)に発行される出版物のことで、プロの記者や編集者による専門的な情報を、他のソースよりも早く入手できるのが魅力であるはずだ。

メーカーやディーラー企業にとっても、特定の読者層を持つ専門誌は、自社の新製品を紹介してもらうための媒体として重要で、その分野で権威ある雑誌にレビュー記事が掲載されることが、口コミの火付け役にもなる。

ところが、いまの雑誌は、紙出版の制約によってネットよりも情報の鮮度が劣ってしまい、かつての権威を失いかけている。“雑誌の時代は既に終わった”という声まで聞かれるが、逆に、経営不振に陥っている老舗の雑誌を買収して、新たなオンラインメディアとして蘇らせることは不可能ではない。

むしろiPadなどの新端末が登場して、デスクに向かわなくても気軽に電子雑誌が読めるようになる時代には、長い歴史を持つ雑誌のブランドは“買い”とみるべきだ。ただし、これからの電子雑誌は、紙の時代とは収益構造を変えていかなくてはいけない。では、具体的にどんなビジネスモデルが考えられるのかを見ていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●広告収入に翻弄される雑誌の収益構造
 ●リーダー端末によって料金が違う電子雑誌の迷走
 ●iPad時代の電子雑誌を黒字化する新ビジネスモデル
 ●有料購読+集客支援による電子雑誌の収益モデル
 ●集客支援機能を持つ電子版グルメ情報誌
 ●iPadを起点とした電子雑誌ビジネスの動き
 ●学術誌に学ぶ、電子雑誌の団体販売とライセンスビジネス
 ●電子時代に生き残れる雑誌の専門性とは
 ●電子雑誌の大学図書館向け販売ルート
 ●フリーペーパービジネスで最後に笑う勝者の存在と業界構造
 ●無料新聞の登場に揺れ動く新聞社のビジネスモデルと収益構造
 ●電子化の波を受けて変わる出版ビジネス


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JNEWS LETTER 2010.5.27
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