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  レストランや美容院が5割以上のディスカウント価格で利用できる「グルーポン」のビジネスモデルは、従来の新聞広告や折り込みチラシなどに代わるローカル広告として注目されている。日本でも多数の類似ビジネスが登場しているが、そこに潜んでいる死角や問題点を解説。
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ローカル広告市場を席巻する
グルーポンビジネスの正体
written in 2010/5/19

 毎朝配達される新聞にはたくさんのチラシが折り込まれているが、この広告は地味でありながらも、全国で約6千億円/年の市場規模がある。チラシの大半は地元のスーパーや商店など中小業者のものだが、全国でみるとインターネット広告よりも大きな市場規模を長らく維持してきたのだ。

新聞社と折込広告組合の統計によると、一世帯あたりに配布される折込チラシは月間で約620枚(2005年)で、その中の8割以上は、地域の小売業やサービス業、それに不動産業者などが出稿しているもので、特売チラシを大切な情報源として毎日チェックしている主婦も多い。ところが、このローカル広告市場も不況による影響で、出稿数が落ち込んでいる状況。2009年の一世帯あたり配布枚数は 520枚にまで減少している。

《首都圏の一世帯あたりに配布される新聞折込広告の推移(月間)》

 ・2004年…………640枚
 ・2005年…………644枚
 ・2006年…………649枚
 ・2007年…………636枚
 ・2008年…………598枚
 ・2009年…………527枚

 ※出所:読売インフォメーションサービス

広告の折込み料はB4サイズのチラシ1枚あたりで3〜5円というのが相場。チラシの用紙と印刷代も含めると、地元商圏の10万世帯に配布すると 約100万円の費用が必要だ。

それに対してどの程度の効果があるのかは「行動率」という指標が使われる。これは、チラシの配布枚数に対して、広告内容に反応した人の割合を示すもので、スーパーの特売チラシであれば「行動率=来店客数」となる。広告業者の話では、この行動率は1〜5%を見込んでいるようである。しかし、折込み広告の反響は当たり外れが大きくて、下手をすれば苦労して工面した広告資金が無駄になってしまう。

そこでもっと効率的な広告の方法を、出稿者である地域の中小業者は探している。ケータイが普及してからは、ケータイメールで特売情報を配信する方法も登場しているが、店が顧客のアドレスを取得して管理するのも大変なことから、当初期待されたほどの活用はされていない。そのため、地域の業者が発信したいローカル広告に関しては、いまだにローテクによる手法が主体のままだ。

しかし昨年頃からは、スマートフォンやツイッターなど、速報性の高いツールやメディアが登場してきたことで、ローカル広告市場にも新風が吹き始めている。米国で最近注目されているのが「フラッシュマーケティング」または「瞬時マーケティング」と呼ばれるもので、企業や商店の特売品をタイムセール方式により短時間で売り切ってしまう手法である。その特徴は、消費者がリアルタイムで反応しやすいソーシャルメディアを巧みに活用していることだ。

その代表例として急成長しているのが、米国で2008年に創業した「Groupon(グルーポン)」というサービスで、地域の商店やレストランなどが在庫やセール品を出品すると、24時間以内に数百〜数千人の購入客や予約客を獲得できるというもの。同社の業績は、うなぎ登りに上昇して、週に 100万ドル以上の純益を上げているとのこと。

Groupon は広告会社ではないし、従来のeコマースサイトとも違う。ではどんな仕組みで大量の注文を獲得して、利益率の高いビジネスが成り立っているのかを検証しながら、今後のローカル広告市場がどのように変わっていくのかを考えていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●売り切り支援をするフラッシュマーケティング
 ●deal of the day セールの基本的な仕組み
 ●会員制タイムセールを行うショッピングコミュニティの事業モデル
 ●急成長するグルーポンのビジネスモデル
 ●ローカル市場とサービス在庫の価値
 ●ゴルフ場が遊休在庫をクーポン販売で解消する方法
 ●レストランにおけるクーポン利用者の消費行動
 ●クーポンマーケティングによる集客コストの革命と死角
 ●激安クーポンによる集客コストの考え方
 ●割引クーポンキャンペーンに適した業界例
 ●急成長のクーポンビジネスにおける死角
 ●消費者が求めるサービスのマネタイズ化と電子マネー社会
 ●リアルタイム性を身につけたソーシャルメディア革命の影響力
 ●忙しい現代人が追求する"時間の経済性"で高まる予約権の価値
 ●疑似通貨の役割を持ちはじめる割引ポイントの交換ビジネス


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JNEWS LETTER 2010.5.19
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