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ルイ・ヴィトンは買わずに借りる時代の 新ステイタスと資産形成 |
written in 2009/9/15
フルモデルチェンジした三代目プリウスのリコール問題は、トヨタにとって深刻な痛手だが、それ以前にもトヨタが喜んでいられない事情があった。プリウスの購入者は、若者よりも50代以降の中高年が主体で、しかもマークXやクラウンからの乗り換え組が多い。昭和の景気を支えてきた世代の人達にとっては、「いつかはクラウン」という言葉が象徴していたように、次に購入するマイカーをランクアップさせていくことが人生のモチベーションになっていた。それがエコブームや不況による価値観の変化により、クラウンよりも車格が劣るプリウスへと“ランクダウン”しているのである。
さらに、プリウスはレンタカーとしても普及していることが、オーナーとしての所有欲を減退させてしまう。普段の通勤は電車で、週末だけプリウスに乗りたいのであれば、わざわざ購入しなくてもレンタカー会社のサイトから予約しておけば半日6千円程度でレンタルすることができる。これまでは「レンタカーに乗るのは恥ずかしい」という風潮があったが、街のいたる所でプリウスが走っていればそうした気持ちは次第に薄れていくし、レンタカーの利用方法も飛躍的に進化して、それが新たなカーシェアリングサービスへと向かっている。
自動車ばかりでなく、他の高額商品にも所有欲の減退傾向は現れている。女性の間で人気になっているのが、ブランドバッグのレンタルサービスで、1週間からの短期でレンタルができる他に、月額1万円前後の会費を払えば、自分の好きなバッグを継続的に利用して、飽きた時には次のバッグへと借り換えることができる。
トータルで考えると、年間で12万円のレンタル代を払っていることになり、12万円のバッグを毎年1個ずつ購入するのと金銭的な出費は同じだが、毎月のように新作バッグに取り替えられるお洒落な感覚と、自宅で使わなくなったバッグを何個も保管しておくスペースやメンテナンスの煩わしさも考えて、わざわざ“所有(購入)しなくてもいいか”という価値観が生まれてきている。
このような所有→レンタルへの変化は、他の商材にも広がっていくことが予測されているが、その時に配慮しなくてはいけないのが、顧客のステイタスは落とさずに維持していくことである。「あの人は高いバッグが買えないからレンタルを利用しているのでは?」と思わせてしまうようではいけないし、逆に自分がレンタル会員であることを公言することで、社会的な地位や信用が認められるような仕組みが求められている。
これに似た先例として、クレジットカードが日本に登場して間もない昭和40〜50年代の話がある。当時はもちろん現金払いが主流で、カード利用者は「お金に困っている人」または「浪費家」という先入観を抱かれていた。ところが今では、現金客よりもカード利用者のほうが「身元がしっかりしていて信用のある人」という評価へと変化している。それと同様に、消費者の所有欲に変わる気持ちを満たす仕掛けはどこにあるのか、それを考えていくことが、来るべきレンタル社会での商機を掴むことに役立つ。
(注目の新規事業一覧へ)
●DVDレンタル文化とカーシェアリング社会の接点
●ブランドバッグレンタルにみる新たな借り物文化
●ブランドバッグレンタルの仕組み
●家を買わずに不動産投資をする方法
●オーナシップからメンバーシップへ変わる信用の築き方
●メンバーシップによる新たなステイタスと信用
●メンバーシップがレンタル業者に示す信用力
●ベンチャー企業として参入する電気自動車の燃費向上ビジネス
●会社経営とは異なるモノとハコから離れたクラブビジネス
●クレジットカードのポイント特典は誰が払っているのか?
●サブプライム問題の裏側にいるクレジットスコアの仕掛け人
JNEWS LETTER 2009.9.15
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