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マイ水筒ユーザーをカフェの優良客に
取り込む循環ビジネス
written in 2009/8/17

 真夏になれば自動販売機の売れ行きは伸びるのが例年の傾向だが、2009年の夏は前年よりも1割近く減少した。これには天候不順も影響しているが、缶コーヒーやペットボトルに変わって、よく見かけるようになったのが「マイ水筒」を持ち歩く人達である。少し前までの水筒といえば、子供が遠足の時にしか使わない代物だったが、近頃では不況で財布のヒモが固くなったのと、エコの見地から見直されて、大人でも持ち歩くことが恥ずかしくないデザインの水筒がヒット商品になっている。恥ずかしいどころか、逆にマイ水筒を持つこと新たなライフスタイルとして広がっているのだから、時代の変化は面白いものである。

しかしこれに焦り始めているのが、飲料メーカーやカフェチェーンの業界だ。スターバックスでも既存店の来店客数は前年よりも1割近く落ち込んでいるという状況。マイカップとしてスタバに水筒を持ち込んでコーヒーを購入する人もいるが、もともとカフェのビジネスは、店内の洒落た雰囲気とコーヒーをセットにして商品化しているため、水筒に入れて飲むためのコーヒーとしては割高だ。それに気付きはじめた消費者は、自宅で自分の好みや健康に配慮した専用ドリンクを作り、水筒に入れて持ち歩くという楽しみ方をするようになっている。

日本では年間で 約690億本もの飲料水が、缶やペットボトルの形態で販売されている。缶飲料が初めて国内に登場したのは1960年代のこと、今では定番となった 500mlのペットボトルは1990年代からの普及で、見慣れている割に意外と歴史は浅い。飲料水の原価コストでいえば、中身よりも容器のほうが高くて、しかも使い捨ての飲み方(売り方)は、エコ社会には似合わないという声も高まっている。

環境ブームに追随する企業側の努力として、エコバッグやエコ箸などを採用してきた動きがあり、それに対して消費者も評価はしているものの、それで企業の業績が伸びるということはなかった。逆に、スーパーにおけるエコバッグ導入後の客単価は明らかに減少している。持参型のマイバッグでは、できるだけ袋のサイズで間に合う量の買い物に抑えようとする消費者の心理が働くため、購入額は減少してしまうのだ。それを回避するには、店舗側が再利用可能な新タイプの買い物袋を開発するなど、持参型のマイバッグとは違ったエコショッピングのスタイルを提示する必要がある。

そこでキーワードとなるのが「循環ビジネス」のモデルである。従来のメーカーや小売店は、消費者に“使い捨て”をさせることで新たな需要を喚起させてきたが、環境重視の社会では同じ資源をできるだけ繰り返し使うことを前提としたビジネスモデルが主流になる。ポイントは、企業がリサイクルの重荷だけを背負って儲からない体質に陥ってしまうのではなく、循環ビジネスのプロセスによって顧客のリピート率を高めたり、利益率が上昇するような仕組みを作り上げることである。使い捨て型のビジネスは、企業と顧客の関係も“その場限り”ということが多かったが、循環ビジネスではそれがどのように変わっていくのかを理解することで、新規事業の開発に役立てることができる。
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この記事の核となる項目
 ●マイ水筒ユーザーを優良顧客にする方法
 ●マイ水筒ユーザーの来店誘導ルート
 ●量り売りへと回帰する小売業のビジネスモデル
 ●ボトルオーナーから樽オーナーへの飛躍
 ●樽オーナーになるための共同購入グループ
 ●自分専用の化粧品をボトルキープさせる美容室
 ●次世代のゴミ箱を起点に考えるエコビジネスの集客モデル
 ●ゴミが無くなる循環社会に向けたゴミ箱の役割
 ●資源回収ゴミ箱とエコポイントの連動モデル
 ●トイレのある場所に客が集まる人間行動学とトイレビジネス
 ●ロハスに向けて流行る量り売り商法にみる小売店の新たな役割
 ●テイクアウト業界がマイカップサービスを始める本当の理由


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JNEWS LETTER 2009.8.17
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