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エコ社会が求める新たな乗り物ビジネスと
セグウェイの挫折
written in 2009/3/10

 ホンダのインサイトとトヨタのプリウスは、未来を示唆するエコカーとしての期待がかけられている。しかし自動車業界全体からみれば、環境問題や不況による逆風は厳しく「自動車」という乗り物は、いろいろな意味で巨体になりすぎてしまった感があり、現代の消費者はもっと身軽でリーズナブルな乗り物を探しているのかもしれない。

その点で「自転車」がエコロジーな乗り物として世界的に見直されているが、現在のホンダ(HONDA)も、60年前の創業時は自転車からスタートした町工場であった。本田宗一郎氏のアイデアにより、人力の自転車に小型の補助エンジンを取り付けたユニークな乗り物が大ヒットして、本格的なオートバイを製造するメーカーとして成長していった話は有名だ。

エコ社会の到来によって再び自転車利用者が増えてきたことは 2008.9.19号で紹介したが、彼らをターゲットとして、自転車を改造した新しい乗り物を開発する町工場的なベンチャー企業が海外では多数登場してきている。それは、自転車と電気モーターの組み合わせによるもので、日本では「電動アシスト自転車」として知られている。

電動アシスト自転車はペダルが軽いため、従来よりも長い距離を乗れるようになるし、オートバイのように運転免許の取得やヘルメットの装着義務もないため、便利でエコロジーな乗り物として普及しはじめており、今年には原付ミニバイクの販売台数(約28万台/年)を追い越すとみられている。

その追い風となっているのが、2008年12月に法律改正で電動アシストの補助率が緩和されたことだ。改正前の電動アシスト車は、人がペダルをこぐ力が1であるのに対して、電動モーターがアシストする力(補助率)も同じ1の力(1:1)までに制限されていた。それ以上をモーターでアシストすると“自転車”ではなく、原付バイクとしてのルールで走行しなくてはいけなくなる。

しかし法改後は、補助率の制限が人力1に対してアシストする力が2(1:2)までに緩和されたのだ。これを普通の自転車と比べると、運転者がペダルをこぐ負担が3分の1で済むことになり、特に発進時や坂道で大きな効果を体感することができる。これなら、ちょっとした近所への買い物だけでなく、天気の良い日にはマイカーの代わりに自転車で通勤してみようかという気持ちにもなるし、週末のレジャーとしても楽しめそうだ。

電動アシスト自転車は約15年前から登場した乗り物だが、当初はバッテリー性能もそれほど高くないわりに重量が重い、しかも価格は10万円以上ということもあって爆発的なヒットとはならなかった。しかしエコ時代の到来により、従来の自転車ユーザー(日本では主婦や子供が主流)とは違う、新しいユーザー層にとって「電動自転車=近未来の乗り物」という印象へと変わってきているようで、欧米ではその開発がエコベンチャーの手掛ける乗り物ビジネスとして人気のテーマになっている
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この記事の核となる項目
 ●エコ社会が求める新たな乗り物ビジネスとセグウェイの挫折
 ●乗り物ベンチャー、セグウェイはなせ成功しなかったのか?
 ●国によって異なる電気自転車の条件と規制
 ●欧米における高付加価値型の自転車ビジネス
 ●高級自転車市場の業界構造と自転車開発のベンチャー企業
 ●日本発、エコサイクルベンチャーの動向
 ●人力自転車を電動型に改造するビジネス
 ●次世代のエコライフスタイルを提示する「自転車」への期待
 ●健康・ダイエットマシンとしてのエコサイクル市場
 ●エコサイクルの普及を阻む時代遅れの法律問題
 ●自転車+自動車の共生=新たなエコライフスタイルへ
 ●環境問題が後押しする「あいのり」通勤ビジネスへの商機


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JNEWS LETTER 2009.3.10
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 ●自転車が安くなった理由と工場を持たないメーカーの起業
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