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年収格差の逆境から生まれる
女性の知恵と新ライフスタイル
written in 2009/2/24

 日本人の平均年収は約430万円という水準で、10年前の平均額460万円からジリジリと下落を続けている。もちろん給料をいくらもらっているのかは、その人の実力や条件による違いがある。若い人ほど給料は安くて、年齢が高くなるほど高くなるのは、ある意味、妥当な格差といえるが、もう一つの顕著な所得格差としてみられるのが「男と女の違い」である。

男女雇用機会均等法が制定されてからは、性別による給与額の差を付けられなくなったが、実際には労働市場全体でみた男性の平均年収が 539万円であるのに対して、女性の平均年収は 271万円と、驚くことに2倍の格差が付いている。これがどういうことかというと、女性は男性よりも“正社員”の割合が少なく、派遣や契約などの非正社員として働いている人が圧倒的に多いことが理由として挙げられる。

《年齢、男女別にみた平均給与の格差》
    年齢、男女別にみた平均給与の格差

この数字だけをみれば、女性は男性よりもかなり厳しい生活をしていることになるが、結婚をしていれば、妻は夫の収入までガッチリと握ることになるため、じつは男性よりも買い物や趣味などにお金を使える余裕がある。それなら独身女性はどうなのか?昨今の不況は、さすがに独り身では不安に感じることが多い様子で、二つの動きが出始めている。一つは、真剣に結婚相手を探そうと婚活市場に向かっている動きで、結婚紹介業には昨年から女性入会者が増加している傾向がみられる。そしてもう一つは、同じ独身女性の友達との協力関係(絆)を深くして、楽しくて豊かな生活を送っていこうとする動きだ。

収入が少ないからといって地味な生活をするのではなく、月に2、3回は雰囲気の良いレストランで外食もするし、好きな洋服も買いたい。年に1度くらいは海外旅行に行こうと前向きなところが、男性とは異なる心理といえるが、もちろん彼女達の平均年収ですべての贅沢をすることは不可能だ。

そこで女性ならではの視点から、無駄を省いた生活の知恵を考えるのも得意で、特別な外食以外では、割高なコンビニなどはあまり利用せずに、スーパーの特売セールでまとめ買いをして食費を抑えることや、マイカーを持たないなどの節約をしている。

そんな彼女達が次の節約術として関心を持ち始めているのが、ルームシェアやハウスシェアのように、住居を友人と共同利用するスタイルだ。独身の女性なら、収入が少ないからといって、あまりにみすぼらしいアパートには住みたくないし、セキュリティの面でも心配だ。できることなら、テレビドラマに登場するようなマンションに住んでみたいが、それを実現するためのアイデアとして使えるのが、気の合う友達同士によるルームシェアの発想である。

ルームシェアは、もともとは欧米の若者達の間に根付いていた生活スタイルだが、日本でも景気の悪化や晩婚化などにより、住居に対する価値観も変わってきている。これは単に「家賃を節約したい」ということだけではなく、“家族”というものの捉え方や、新しいライフスタイルを追求する動きとして捉えるべきで、その先進的な層として、まず単身の女性達が積極的な行動を起こしはじめている。それが単身の男性や、高齢者の生活にも影響を与えていく可能性は高そうだが、そこに向けてどんなビジネスが考えられるのかを見ていこう。
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この記事の核となる項目
 ●単身女性の生き方を軸にしたライフスタイルの変化
 ●夫婦世帯・単身男性・単身女性の違いによる生活費の内訳
 ●安い家賃で優雅に暮らすルームシェア・ゲストハウスの台頭
 ●下宿・寮生活から現代版ルームシェア、ゲストハウスへ
 ●シングル女性が購入するマイホームの採算と新たな家族関係
 ●ネットが身近にするルームシェアのパートナー仲介サービス
 ●ルームメイト間のトラブル解決をするサービス
 ●ハウスシェアによる人生設計と新家族の形とは
 ●親友とのハウスシェアによるマイホーム購入プラン
 ●未婚者市場に向けた婚活ビジネスの業界構造と参入の視点
 ●血縁と戸籍を超えて新たな家族関係が浮上してくる兆候
 ●変化する近所付き合いのスタイルと町内会・自治会の役割
 ●同棲カップルが日本を救う少子化対策ビジネスの核心部分
 ●多様化するライフスタイルで変化する遺産相続の損得勘定
 ●一人暮らし世帯の増加にフォーカスした住宅業界の新市場


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