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平均より長く生きるためには
コストがかかる長寿の傾向
written in 2008/9/27

 リーマン・ブラザーズの経営破綻は世界の金融市場に激震を与えたが、その次に“危ない”と噂されていたAIGグループについては、何とか破綻が回避されている。この2社の明暗を分けたのが“顧客層の違い”と言われている。証券会社のリーマンは“自己責任”に基づいた投資家を相手にしたビジネスだが、AIGは 130以上の国・地域で一般の生活者を顧客対象にした保険事業を展開している。日本でもアリコジャパン、アメリカンホーム保険会社、AIGスター生命、AIGエジソン生命などの系列会社が営業をしていて、約1千万人の契約者を獲得している。万が一、AIGが破綻ということになれば、生活者への影響はリーマンの比ではないのだ。

日本で外資系の保険会社が急速に勢力を伸ばしてきた背景には、高齢化社会の医療問題が関係している。従来の保険といえば、本人が亡くなった後の家族が生活していくことに備えた“終身保険”が中心であったが、近年では、自分が病気になった際の治療費が支払われる“医療保険”のほうがシェアを伸ばしている。外資系はこの医療保険を主力商品としていて、特にガンの治療に特化した「がん保険」については、アメリカンファミリー生命保険(アフラック)だけで約1400万件の契約数と、圧倒的なシェアを獲得している。(注:アフラックはAIG系列ではない)

これからの時代、国の公的保険だけでは心許ないと考えている人は多く、巷で“治療費が高い”といわれているガン疾患については特別な保険に入っておこうという心理にも頷ける。ただし、ガン保険の仕組みにもトリックがあって、長年掛け続けてきた保険料の総額よりも給付金のほうが少なくて、さらに治療費を自己負担しなくてはならないケースも少なくない。

そもそも「ガン治療の医療費は特別に高い」という世間の常識は誤解で、公的保険が適用される範囲の治療であれば他の病気と変わらない。胃ガンの手術で10日間の入院をした場合の医療費が 約100万円としても、その中で患者側が負担するのが3割なら約30万円だ。この金額だけで判断するならガン保険の掛金総額のほうが高くなることもある。

ただし一般的な治療内容を超えた「最先端の医療サービスを受けたい」ということであれば話は別で、これは公的保険の適用から外れた自由診療になり、1回の手術で200〜300万円を自己負担しなくてはいけない。そのため病気が完治するまでには1000万円以上の費用がかかることもある。しかしガン保険でカバーされるのは多くても100〜300万円までで、保障額が無制限というわけではないのだ。

IT業界と同じく、医療の現場も日進月歩で進化しており、ガンに限らず様々な病気で最新の治療法が開発されているが、それらの高度医療を受けようと思えば保険の加入有無に関係なく、高額な費用を自分で負担する必要がある。逆に言えば、その費用を払える人だけが最先端医療を受けることができるということで、それが人によって異なる「命の値段」や「長寿のためのコスト」とみることもできる。

医療にそのような貧富の格差が生じることには反論も多いが、現実の問題として保険制度だけで十分な医療サービスを提供することには限界があるため、最新の治療法は“保険適用外のオプション扱い”になるものが多く、それが従来の医療より1ランク上の「長寿医療」として新たな市場を形成しはじめている。それを“金持ちだけのもの”にするのではなく、一般の人達でも広く受けられる環境を作ることが次の課題で、そこには新たなビジネスが生み出せる余地がたくさん潜んでいる。
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この記事の核となる項目
 ●平均よりも長く生きるための長寿コスト
 ●国別にみた医療費の支出額の違い
 ●アンチエイジングと薄毛治療からみた自由診療ビジネス
 ●病気を治す医療から寿命を延ばす医療への変化
 ●病院経営からみた診療方針の転換と新サービス
 ●医師の自由診療を支援するビジネス
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 ●学会から専門コミュニティへ変化する医師の業界構造
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 ●新素材の金脈発掘に奔走する健康業界と究極の若返り市場


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