ソーシャルブックマーク |
Yahoo!ブックマーク
はてなブックマーク
livedoorクリップ
|
|
言葉を「情報」に変える ボイスレコーダーの価値と活用法 |
written in 2008/4/6
我々が相手に対して何か伝えたい時のコミュニケーションは、口頭による会話であることが圧倒的に多いが、それを文字数に換算すると1分間の会話で約200〜300字と言われている。仕事の休憩時間に同僚と世間話を 15分もすると双方で原稿用紙10枚分以上のやり取りがされている。ましてや、2時間も続くような会議となれば、長編小説に相当するような文字数になる。そう考えると、普段何気なく交わされている会話の中から、もっとたくさんの情報を吸収したいと思うようになる。
幸いにして近頃では小型ICレコーダーの性能が飛躍的に向上して、丸一日以上の会話をノンストップで記録することも可能になっている。価格も1〜2万円と手頃だ。そのため報道や出版の仕事をしている者にとっては、取材中の重要な会話は手書きのメモではなくて、すべてICレコーダーに録音して音源として残すことが習慣になっている。ビジネスの商談時でも、音源が残っていれば口約束によるトラブルを防ぐことができる。また建設業界では、現場監督にICレコーダーの常時携行を義務付けて、工事作業員に対する指示の内容をすべて音声で記録している例もある。万が一、現場で事故が起こった際には、その音声記録から原因を突き止めるためである。
このように口頭による会話を「情報」として記録できるようになると、音源データに関する新たなビジネスが成り立つようになる。これまでの音源ビジネスというと、「音楽」のことを指していることが多かったが、それに限らず、音声を記録(録音)したデータはすべて音源として蓄積されていくため、その中から商品価値のあるものを掘り起こすことができる。たとえば、既に亡くなった著名な経営者や文化人の肉声による講演録には価値がある。また鉄道マニアの世界では、現在では姿を消してしまった蒸気機関車やディーゼル機関車の走行音を収録した音源が商品として販売されていたり、最近では各駅や電車内のアナウンスを録音する音源マニアも登場してきている。
音源を販売するビジネスは、2008/3/16号で紹介したオーディオブックと同様に、音源に関する権利を獲得することが基本だが、そもそも昔は音源の管理が曖昧だったことから、それを現代に蘇らせる際にトラブルになることもある。つい先日もNHKラジオの落語番組で、他局が約20年前に放送した音源を無断で使っていたことが発覚した。これは番組の司会者が個人的にラジオから録音したテープを持ち込み、そのまま番組内で使っていたのが原因とのこと。
放送業界のプロとしてはあまりにお粗末な話だが、音源データは「情報」であり「著作物」でもあるため、正しく活用すればそれを有意義な商材やビジネス資料として活かすことができることに加えて、知的な資産にもなる。もしも自分(自社)の会話をICレコーダーで丸一日分ずつ収録して、それを毎日の音源としてストックしていくと、何年か後にはそれが思わぬ財産になるかもしれない。もちろんその価値は、音源にどんな情報が含まれているのかで変わってくるが、企業の情報管理術としても、紙の報告書や電子メールだけでなく、もっと音源データを活用してみるべきだ。意外にもそこに関連したビジネスは、ほとんど手付かずの状態で残されている。
(注目の新規事業一覧へ)
●成熟市場の中から飛び出した音源ブーム
●ショッピングレコーダーにみる音源の情報活用
●音源による情報管理と画像による医療業界の読影ビジネス
●映像と音源にテキストを加えた情報管理術
●医療業界に学ぶマルチメディア情報を読みとる専門家
●遠隔読影サービスの仕組み
●医師の在宅起業を実現する遠隔診断と音源ビジネスの接点
●画像の共有で成り立つ遠隔診断ビジネス
●読影ビジネスと音源ビジネスの接点と新たな専門職
●オーディオブック業界にみる独占的仕入れ権利の獲得競争
●音声メディアの普及で活気づく「声」を商品化するビジネス
●在宅ワークとして開業できる「テープ起こし業」の成功法則
JNEWS LETTER 2008.4.6
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
|
|
|
|