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  これまでのキャラクタービジネスは、テレビやマンガの登場人物として人気に火が付き、それが玩具や文具としても製品化されるような流れを辿ってきた。しかしそれは今後のキャラクター市場からすると前哨戦のよう なもので、大本命となるキャラクター戦線は仮想空間の中で繰り広げられるものになる。
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好印象を与えるキャラクターの商品価値と
擬人化ビジネス
written in 2008/1/21

 彦根市が「彦根城築城400年祭」のイメージキャラクターとして一般公募の中から採用した「ひこにゃん」は、猫をモチーフにデザインされた愛くるしいマスコットだが、その表情がゆるくて癒されると巷で大人気となり、彦根市の宣伝役として多大な貢献をした。そればかりでなく、ひこにゃん関連のグッズが飛ぶように売れたことから、地元では「ひこにゃん効果」「ひこにゃん景気」などと大いに湧いた。ブームの仕掛け人である彦根市でも、そこまで大ヒットするとは思いもかけなかったから、キャラクター契約の取り決めが不十分であったが、作者との話し合いで、イベント終了後も「ひこにゃん」には同市のマスコット役として活躍してもらうことに落ち着いた。

このようにたった一枚のデザイン画が“キャラクター”として人気に火が付き、大きな経済効果を生み出した例は、過去にもたくさん存在している。それら架空の人気キャラクター達は、それぞれが億単位の収入を稼ぎ出し、国内のキャラクター市場全体では約2兆円もの規模になるという。人気キャラクターが稼ぐ収益の構造は、様々な商品の中に登場することによって、そのキャラクター使用料を得るという方式だが、この市場規模は更に拡大していくことが予測されている。

というのも、これまでは玩具、雑貨、文具などの分野が中心であったキャラクター市場の領域が、それ以外にも拡大してきているためである。キャラクター付の商品と、そうでない商品との違いは、「かわいらしい」とか「かっこいい」という視覚的な印象の違いでしかないのだが、じつはこれが“擬人化”の手法として大きな効果をもたらしている。本来は工業製品に対して「かわいい」という印象を抱くのはおかしなことだが、製品に愛着のあるキャラクターが乗ることにより、消費者はあたかも自分の親友やペットのような親近感を抱くのである。

「キャラクターによる製品の擬人化」は、ITやロボット分野が大本命と言われている。既に我々の周囲にはたくさんのIT機器が普及しているが、アナログ人間には操作方法が難解で取っ付きにくいという苦手意識を抱いていることが多い。しかしそれが擬人化によって「かわいい」と愛着が湧くようになれば、途端に機器と人間との距離が縮まる。さらに何年か後には、家事や介護の手助けをしてくれる家庭用ロボットが本格的に普及してくることになるが、そこでの課題も高性能ロボットをいかに擬人化するかという点である。そのために、万人から人気の高いキャラクターをロボットの外観に採用することも検討されていて、鉄腕アトムやドラえもんが家庭用ロボットとして普及することも夢ではないのだ。その時の肝となるキャラクタービジネスとはどんなものなのかを掘り下げてみよう。
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この記事の核となる項目
 ●そもそもキャラクターとは何なのか?
 ●ネットで求められる仮想キャラクターとアバタービジネス
 ●借りるよりも貸すほうが儲かるキャラクタービジネス
 ●IT社会における仮想キャラクターの役割
 ●仮想キャラクターとして活躍するネット社会の弁護士
 ●ネット界におけるアバタービジネスの業界構造
 ●仮想空間における人気キャラクターの生み出し方と育て方
 ●どこまでも進化するアバタービジネスの魅力
 ●仮想キャラクターの収益構造とキャラクタープロダクション
 ●仮想空間の好立地を取引するプロダクトプレースメントの仕組み
 ●アマチュアが牽引する最先端ロボットのコンテストと市場動向
 ●顧客をキャラクター化する“似顔絵”のオンライン販売動向


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