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ネットよりも紙カタログを主役に考える 法人通販ビジネス |
written in 2007/11/23
創業から間もない技術系のベンチャー企業が医薬品の研究機関向けに画期的な検査キットを開発したとしよう。製品には絶対の自信があるが、それをどう売ったらよいのかがわからない。それまで医薬品業界との取引経験はなく、社員はすべて技術者のためにセールスができる人材はいないし、数人の営業マンを雇ったところで全国の製薬会社に売りに歩くことは難しい。医薬分野に限らず、そんな悩みを抱えている会社は多いのではないだろうか。
これは法人営業のノウハウになってくるが、売りたい製品が専門分野の商材になるほどセールスの方法は難しい。とりあえずホームページは立ち上げてみたものの、販売ターゲットにピタリと合う法人ユーザーからのアクセスは少なく、問い合わせを待っているだけでは埒が明かない。そんな場合には専門商社に頼ってみることが一つの方法だ。専門商社というのは、バイオから宇宙産業まで何でも手掛ける大手の総合商社とは違って、特定の業界だけに絞り込んだ法人取引を得意とする業者のことを指している。たとえば全国の歯科医院に口内治療用の機器や部材を専門に扱う商社、飲食店向けに厨房機器を扱う商社、美容室向けに美容資材を扱う商社など、各業界の法人(業者)ユーザーに対して商材を売り込むことを専門としている商社が存在している。
彼らがどんな方法で全国の該当業者に対してセールスを行っているのかというと、もちろん各地に営業所を設置して巡回するルートセールスもあるが、それでは効率が良くないことから、近頃ではカタログ販売を主力にした会社が伸びている。通信販売といえばネット全盛の時代だが、法人向けの通販市場では紙カタログとネットの併用による売り方が主力だ。しかしそれでは紙カタログの製作コスト分だけ利益率は落ちてしまうのではないかと思いきや、法人向け通販ビジネスは新規の顧客を一度獲得するとリピートしやすく、注文のロットも大きいために、上手にやれば一般向けのネット通販よりも高い利益率を維持できるという特徴がある。法人顧客と紙カタログの相性が良いのは、専門的な商材を多数取り揃えて視覚的に見せられるためで、特に地方の業者は近隣の仕入先が少ないため、日常の業務に必要な機材や消耗品がすべて一冊のカタログで注文できることが好評だ。
よく知られている法人向け通販としては、幅広いオフィス用品を扱う「アスクル」やコクヨの「カウネット」などがあるが、それよりも更に特定の業界用商材に絞り込んだニッチ通販ビジネスが成り立っている。一般消費者向けの通販市場では、「もう買えないものはない」というほど品揃えが充実していて、業者間の値引き競争は非常に厳しいものになっているが、法人向けニッチ通販ビジネスにはまだたくさんの参入余地が残されている。そこで今回は法人向け通販のやり方と採算性について見ていくことにしよう。
(注目の新規事業一覧へ)
●リアルで攻める法人向け通販ビジネスのやり方
●カタログ配布数と注文単価で決まるオフィス通販の採算性
●ニッチ商材の流通構造を攻略したカタログ通販会社の視点
●ニッチ市場ほど有望な事業所向け通販ビジネス
●正規流通ルートの盲点を突いた歯科材料の輸入販売ビジネス
●卸問屋からシフトするカタログ専門商社のビジネスモデル
●教材問屋から教材通販会社への進化
●全国の学校を顧客にした教材通販ビジネスの仕組み
●メーカーと事業所を仲介するカタログ商社のビジネスモデル
●代理店制度で高収益体質を作る通販ビジネスのやり方と問題点
●極上の逸品を売りさばく富裕層向け専門媒体の販売力と役割
JNEWS LETTER 2007.11.23
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