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会社を維持するためのコスト感覚と 資金繰り改善ビジネス |
written in 2007/10/28
二年前に脱サラをして、輸入品を販売するベンチャー企業を立ち上げた若手経営者がいる。創業初年度は取引先の開拓にも苦労してなかなか売上の目処が立たなかったが、二年目になると販売代理店の数も増えて徐々に事業が軌道に乗り始めた。すると新聞やテレビ局が「話題の新商品」として取り上げてくれるようになり、一気に注文件数が増えはじめた。これでもう安心だろうと見ていると、ある日その経営者が血相を変えて相談に訪れた。「このままだと資金繰りの目処が立たずに倒産してしまう」と言うのだ。その会社の取引状況を詳しく調べてみると、商品の仕入先と販売先の取引条件が、売れれば売れるほど資金繰りが苦しくなるようになっていたのだ。
早急に取引条件の変更をして、その旨を銀行に説明して追加融資を受けることで事なきを得たのだが、経営者がリアルタイムで見ている注文や売上の数字と、実際に会社の口座に入ってくる現金の流れとはタイミングがずれている。そこに早い段階で気付かないと、業績急拡大の最中に経営が行き詰まることが現実にある。その一方で、長年にわたり多額の負債を抱えていても、経営を続けている大企業は少なくない。借金の額は増えても、日々の支払いさえ滞っていなければ会社が倒産することはないためだ。
会社にとって“資金”は体を流れる血液と同じで、スムーズに循環している間は大丈夫だが、何かの突発的な出来事によって循環のペースが変わったり、循環しにくくなると不調が次々と起こりはじめる。資金の流れのことは「キャッシュフロー」と呼ばれ、会計の本には「利益よりもキャッシュフローを重視した経営をすることが大切」などと書かれていたりする。しかしその解説では、会計に詳しくない経営者や開業希望者には難しいかもしれない。
もっとわかりやすい話として、誰もが経験したことのあるキャッシュフロー経営として「家計のやりくり」を考えてみよう。月々の決まった給料の中から家計をやりくりしていくには、家賃や食費、教育費など毎月かかる支出のバランスを考えなくてはいけないし、その中から老後資金の蓄えもしなくてはいけない。マイカーやマイホームなど高額品を購入するためには、月々の返済金額と返済期間、金利の条件などを考慮して賢いローン計画を立てることも大切だろう。このような“やりくり”の上手い下手によって家庭の台所事情は異なってくる。銀行によると、家計のやりくりと会社経営には共通点があって、家計のやりくりが下手な人が起業をしても、会社経営の資金繰りも上手くいかないことが多いという。
さらにさかのぼると、親が小学生の子供にお小遣いを与えて一ヶ月間のやりくりをさせてみると、同じ小遣いの額でも、いつも月の半ばでお金が足りなくなってしまう子と、計画通りの買い物をして月末の貯金までできる子に分かれる。不思議なことにその金銭感覚は大人になっても大きく変わることがなく、将来の経営者として倒産リスクが少ないのは、圧倒的に後者のタイプが多い。
もちろん大人になれば、やりくりする金額の桁が違ってくるし、ましてや経営者として事業の規模が大きくなれば、それは自分の財布だけでは足りずに、銀行や株主など他人を巻き込んでお金のやりくりをしなくてはいけない。しかしその原点は子供時代の小遣い管理と同じ金銭感覚を踏襲していて、資金繰りが下手な経営者は誰かに「そのお金の使い方は間違っているよ」と指摘されないと気付かないものである。そこで企業のキャッシュフロー(資金繰り)を改善する専門家やサービスが成り立つ。今回はキャッシュフローの仕組みを噛み砕いて、会社の口座を残高不足にしないためにはどんな方法があるのかを紹介していこう。
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JNEWS LETTER 2007.10.28
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