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  企業がCMを放映する媒体としてテレビの他に、ネット上の動画サイトが注目されている。ただし工夫が必要なのは、いかにも「これは企業広告です」といった内容はユーザーに受け入れられないため、広告と気付かれずに消費者の心理に商品イメージを植え付けるようなやり方が求められている。
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都市伝説を仕掛ける
プロダクトプレースメントによる新広告
written in 2007/10/18

 仕事の帰宅時間が遅くなって、楽しみにしていたテレビ番組を見逃してしまい、あいにく録画予約もしていないということはよくある。しかしそんなに落胆することはない。きっとどこかの誰かが YouTubeに番組のハイライトシーンをアップしておいてくれるだろう。著作権侵害などの問題はあるものの、ネットで検索をすれば目的の番組(動画)が閲覧できるというのは便利な世の中になったものである。

たとえばゴルフトーナメントの1シーンが動画サイトに投稿されて、「この選手が使っているクラブは今までに見かけたことがないが、どこのメーカーの新製品なの?」といった議論が活発になると、それはテレビCM以上の効果を生み出すことがある。メーカーからの正式なリリースはなく、不鮮明な映像から深い情報を読みとらなくてはいけないからこそ、ネットでの口コミは盛り上がる。

この特性を利用すると、最近流行している“都市伝説”と言われる世間の噂話を企業の広告宣伝に結びつけることも可能である。たとえば高級マンションの分譲時には必ずといってよいほど『あそこの最上階を芸能人の○○が買ったらしい』という噂話が流れる。噂の発信源がマンションの販売会社というわけではなく、その噂が本当なのか嘘なのかを公式にコメントすることもないのだが、それが結果としてとても効果的なマンションの広告宣伝に結びついている。

このような噂話の波紋を生み出すのに、ネットの動画コンテンツは適している。もともとテレビCMの世界では、広告メッセージを 100%伝えるのではなく、その中にどんな意味が含まれているのかを、消費者が想像したり謎解きできたりするものが良いとされている。しかしテレビ番組の途中で流れるCM枠の中では、どんな奥深いメッセージも消費者に“要するに宣伝でしょ”と悟られてしまうため、もっと違う形での動画広告の見せ方が求められているのだ。

そこでインターネット動画の活用に広告業界が注目しはじめている。YouTube などのビデオ共有サイトへ企業(広告主)からのメッセージが含まれた動画を投稿し、それが都市伝説の謎解きや噂話として有名ブロガーなどのサイトにも広がっていけば、広告主は従来のようにバカ高い放映料をテレビ局に払わなくてもよくなるかもしれない。すると年間で2兆円と言われるテレビCMの市場が、ネット上の動画サービスに動くことになる。その動向を追いかけてみよう。
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この記事の核となる項目
 ●無言でメッセージを伝えるプロダクトプレースメント広告
 ●無料動画に埋め込まれた企業広告とビデオ共有サイトの活用
 ●ネットコンテンツに埋め込まれる企業広告の実態
 ●テレビからネット動画にシフトする企業コマーシャル
 ●アクセスを稼げるビデオ制作者を発掘するビジネスへの商機
 ●ビデオクリエイターの才能発掘と報酬モデル
 ●企業(広告主)とビデオ制作者をマッチングするビジネス
 ●ビデオコミュニティがマネタイズする仕組みと報酬制度の注意点
 ●アマチュア映像作品を狙うDVDビジネスの海外動向と仕組み


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