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極上の逸品を売りさばく 富裕層向け専門媒体の販売力と役割 |
written in 2007/7/15
景気回復がなかなか実感できないというが、そのくせ高額商品が発売当日に売り切れたり、注文しても手に入れるまで何ヶ月も待つといったことはもう珍しくない。そんな商品のひとつに、福井の傘製造業者が開発した一本三万円以上もする「ヌレンザ」という洋傘がある。何がそんなにすごいのかというと、特殊な加工をした生地のため、満員電車の中でも濡れないというものだ。とはいえ、忘れ物の筆頭に挙がるような傘に、それだけの理由で買いが殺到するとはちょっと考えにくい。いったい人気の秘密はどこにあるのだろうか?
人気に火がついたきっかけは、レクサスのオーナーだけに提供されている商品カタログに採用されたことだった。傘と高級車とは一見奇妙な取り合わせだが、雨天の車内でも革製のシートが汚れない傘として高級車オーナーの心を掴んだのだ。1千万クラスのクルマに乗る人にしてみれば、“濡れない傘”の価格が3万円というのも妥当な水準かもしれない。
この例に限らず、中小零細業者がこれから価値の高い商売をしていくには、できるだけ高品質の商品を扱っていく必要がある。しかし、そのためにはどうしても“高価格”になってしまう。「こだわりの品質=高い価格」をすべての消費者に受け入れてもらうのは無理なため、「違いのわかる消費者」だけを対象とするような割り切りも必要になる。たとえば、7月といえば土用の丑だが、この時期になると通販でもウナギが売れ筋商品になる。それは毎年恒例のことだが、わざわざ通販で売るからには、スーパーに並んでいるのと同価格の商品を何百個売ったところで大した儲けにはならない。そこでできるだけ高級なウナギを売ることが勝負になってくる。
2千円のウナギと1万円のウナギとでは購入者の層が違うため、宣伝するための媒体や売り文句(キャッチフレーズ)も変えなくてはならない。楽天に出店して派手な宣伝をするというのは従来の売り方だが、もっと効果的なのは富裕層向けの雑誌で“極上のうなぎ”として紹介(掲載)してもらうことだろう。「雑誌」といっても書店で販売されているものばかりでなく、ブランドメーカーやクレジットカード会社が優良顧客に向けて無料で配布される会報誌が最近では増えていて、その誌面上には優雅なライフスタイルを楽しむためのアイテムやサービスが読み物としても充実した内容で紹介されている。いわばこれは「富裕層向けのカタログ雑誌」とも言えなくないが、これが一般大衆向けのフリーペーパーや通販カタログと違うのは「選ばれた人にしか配布されない」ということだ。
これからの新規事業として、富裕層向けに高級商材や高級サービスを販売していこうと考えている企業や起業家は多いが、彼らに対してどんな販路を築けばよいのかわからずに悩んでいるというケースが目立つ。そもそも「私はお金持ちです」と自分からアピールしてくるような輩はかなり怪しいわけで、本物の富裕層は表立っては姿を見せないものである。だからこそ本物の富裕層に対して的確に情報発信している媒体に、我が社の商品を紹介してもらいたいという依頼が殺到している。それならば富裕層向けに情報発信をする媒体を運営することがビジネスとして成り立つはずである。ただしそれを成功させるには、富裕層の心理を揺さぶるだけの巧みな仕掛けが必要だ。
(注目の新規事業一覧へ)
●富裕層向けの専用媒体が求められるようになった理由
●厳選した人にしか送付されない富裕層雑誌のビジネスモデル
●限られた人にしか配布されない富裕層雑誌の特徴
●富裕層雑誌の流通(配布)ルート解説
●集客支援ツールとしての富裕層雑誌の仕掛け
●富裕層への憧れを購買力に変えるウイッシュリスト
●富裕層サイトとウイッシュリスト機能の相性にいて
●決して「ノー」とは言わないプラチナカードサービスの舞台裏
●年収×2で考える新たなニューリッチ層の台頭とセレブビジネス
●偽りの金持ちの影に隠れた、本物の富裕層の生活実態と価値観
●富裕高齢者層をターゲットにするコンシェルジュ・サービス
JNEWS LETTER 2007.7.15
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■この記事に関連したバックナンバー
●貯蓄の内訳から判断する富裕層における保守派と革新派の特性
●貧富の差が広がる世の中でなかなか正体を現さない富裕層の影
●2006年有望ビジネスへの着目点(富裕層に狙いを定めた販売戦略)
●SOHOが富裕層の仲間入りをするための発想と蓄財ノウハウ
●バブル期の高級会員権ビジネスを反面教師にした富裕層ビジネス
●格差社会に仕掛けられた"勝ち組"の虚像と真の顧客ターゲット
●一般層まで需要が広がる相続ノウハウの開拓と専門家の台頭
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