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  中高年者の失業問題が深刻化する一方で、人手不足になっているのが20代の人材。少子化傾向からいえば当然の流れだが、その若者を十代のうちから青田買いしておこうというリクルートビジネスが浮上してきている。今後の労働市場は、中高年者と若者とでは求人の方法を切り分けて考えていく必要がある。
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少子化時代に加熱する
若者の青田買いビジネスと奨学制度
written in 2007/6/25

 高校野球部の特待制度が日本学生野球憲章に違反していると報じられ、処罰の対象になるかと思いきや、「それは野球憲章のほうが時代遅れだ」という世論が大きくなり、条件付きで特待制度が認められたことは記憶に新しい。これも見方が少し変わると「高校側が一部の野球センスに秀でた生徒だけを優遇している」という非難が出てきてもおかしくない問題だが、現実に学生スポーツの世界では、将来有望な才能ある子供達がかなり早い時期から“青田買い”されているのが常識。もちろんそれは露骨な金銭のやり取りではなく、何らかの特待制度や奨学制度という形で、無償の英才教育を行なうことによる“囲い込み”が行なわれているのだ。

この仕組みはスポーツ界に限らずビジネスの世界でも活用できるものである。将来有望な若手の人材を「できるだけ早く獲得したい」と希望するのは企業も同じことで、特にこれから深刻な少子化時代を迎えると、人事担当者は従来のリクルート活動よりもっと早い段階から優秀な学生を発掘して良好な付き合いをしておく必要がある。十代の高校生に対してはもちろんのこと、できることなら幼稚園や小学生のうちから“逸材”を発掘してツバを付けておきたいという思惑もある。子供の頃から付き合いがある会社に対しては、生涯にわたって好印象を抱き続けるという調査報告もあることから、将来のリクルート活動としてだけでなく、将来の消費者を育てる上でも、企業が子供と良好な関係を築くことは大切なのだ。

そのための関係作りとして、何かに秀でた能力を持つ子供や学生に対して学業の資金援助や特別な教育プログラムを提供することは非常に効果的だ。企業では毎年、大学新卒者を採用するために多額の求人コストを費やしている。その大半は求人誌や求人サイトへの広告掲載料が占めているが、それでも優秀な人材を獲得できるという保証はどこにもない。それなら求人方法の発想を変えて、広告掲載予算の一部を削って、奨学制度を創設してみるという方法がある。優秀な学生を公募して何らかの形で学業を支援するプログラムを実施すれば、求人広告からでは巡り会えないような逸材が多数応募してくることが期待できる。「奨学生が学校を卒業したら必ずその会社に就職してくれる」というわけではないにしても、優秀な学生との良好な関係を作るための手段としては申し分ない効果が得られるはずだ。

すでに米国では奨学制度(スカラーシップ)によって学生を青田買いするシステムが確立しており、優秀な学生を奨学制度の選抜試験に送り込む仲介業者の存在もある。今後は奨学制度を活用した若者のスカウトビジネスが更に加熱していきそうな気配である。日本でも同様の動きが見られるようになるだろうが、そこを攻略するには、まず奨学制度にみられる表と裏のカラクリを理解しなくてはならない。
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この記事の核となる項目
 ●日本における奨学制度の裏事情
 ●米大学が奨学制度を設けるカラクリと若者の仲介斡旋事業
 ●米国の大学奨学金プログラムに仕掛けられた算盤勘定
 ●米スポーツ奨学生の獲得ルートと仲介ビジネス
 ●奨学金手続き代行業者のビジネスモデル
 ●英語教材会社が手掛ける奨学金手続き代行ビジネス
 ●学生と大学との仲介斡旋をするビジネスの台頭
 ●企業向けリクルート市場における奨学金制度の活用策
 ●企業が学生をスカウトするためのスカラーシップ制度


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