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サクラとは違う 素人エージェンシーが仕掛ける口コミ広告 |
written in 2007/3/10
実験のねつ造が発覚した人気テレビ番組「あるある大辞典」の社会的影響力が非常に大きかったのは周知の通り。番組で「納豆で痩せる」ことが一般人の中から募集された被験者によって実証されると、全国のスーパーから納豆が無くなるほど消費者が殺到するというのは驚きだが、この番組のような仕掛けは他でも広く導入されているものだ。深夜の通販番組ではダイエット商品を紹介するにあたり、肥満に悩む一般人に数週間のテスト(試用や服用)をしてもらい、その減量結果から、商品のダイエット効果をアピールするという方法は、いまや当たり前の手法である。
ひと昔前の通販番組なら、知名度の高いタレントが商品の紹介役になることで視聴者の購買意欲を高める方法をとっていたが、販売元の会社から高いギャラを貰っているタレントがいくら「この商品はすばらしいですね」と紹介したところで、最近の賢い消費者はそれが単なる広告メッセージに過ぎないことを悟ってしまっている。そこで有名タレントを使うよりも、一般の人に商品モニターとなってもらい、その使用結果や感想を番組内で紹介するという方法へとシフトしている。しかし、番組に登場してくる一般人の大半は、意図的に調達された「企業側にとって都合の良い人たち」というのが実態。彼らが一般人であることに間違いはないため、それが必ずしも“やらせ”ということにはならないのだが、企業が素人を広告手段として採用することは、いまや常套手段である。
そこで新手のビジネスとして登場しているのが、素人の消費者を企業からのオーダーによって派遣する“素人エージェンシー”とでもいえる素人専門のプロダクションである。俳優やタレントがプロダクションに所属してテレビや雑誌の仕事をするように、一般の学生や主婦、高齢者などが企業やマスコミからの依頼を受けて、商品広告の仕事をすることが増えてきている。もちろん彼らは“普通の消費者”としてCMや雑誌の記事に登場して、視聴者や読者の側にいる同じ消費者に共感を抱かせることが仕事である。
これからの販促手法として「消費者に口コミを広げてもらうこと」は、どの企業にとっても重要な課題であることは間違いない。しかし、ただ待っているだけでは何年経っても期待する口コミ効果はほとんど得られない。そこで素人エージェンシーに依頼をして、意図的に何らかの仕掛けをして口コミの発信源を作り出すという広告ビジネスの構図が出来つつある。
(注目の新規事業一覧へ)
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●健康食品の素人モニターを探す治験会社の役割
●従来のサクラとは異なる素人モニターの基本
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●口コミの起点となる素人エージェンシーの存在
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●情報の希少性が導く口コミ伝達力
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●意図的な“口コミ”マーケティングと相互リンク文化の弊害
JNEWS LETTER 2007.3.10
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