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国が少子化対策として推奨する 出会い仲介サービスの方向性 |
written in 2007/2/10
2007年はライフスタイル元年ともいわれるが、現代人が新しい生き方を模索していることは間違いない。ではそもそもライフスタイルとは何か?と問われると漠然としか答えられないことが多いが、生活の最小単位を“家族”と捉えると、家族との生活スタイルに変化が起こっていることは確かだろう。いわゆる“標準世帯”として定義されている「夫婦に子供二人で、妻は専業主婦」という家庭は20年前と比較して半分以下に減少している。逆に増えているのは、子供のいない夫婦や単身者世帯である。それは昨今の社会情勢からすると無理もないことで、人々の生活は豊かになった反面、そのハイレベルな生活を維持していくには相当の苦労と努力をしなければいけない。
しかし国が少子化対策として展開しているのは、相変わらず旧態然とした「結婚をしましょう」というキャンペーンばかりである。最近では国や県が補助金を支給してカップリングパーティを開催することもあるが、その内容はナンパ目的で発案された民間パーティ業者の企画を模倣したものに過ぎない。冷静にみれば失笑を買うような話だが、少子化対策を担当する役人からすると大真面目で、それくらいしか男女の縁を取り持つアイデアが思い浮かばないというのが実態のようだ。
他の先進国でも少子化は共通した悩みだが、その対策としては結婚と子供とは切り離して考えようとする傾向が強い。これは、従来の結婚という形にこだわることなく出産や子育てができる社会環境の整備こそ、国が行なうべき対策であるという発想。たとえば、未婚の母や母子家庭を社会的に差別(軽視)するのはおかしいし、ステップファミリー(子連れ再婚)というのも最近では珍しいことではない。要するに「家族」の在り方が昔とは違ってきていることを認めて、それを社会が温かい目で見守る風潮を作ることに欧米の政府は目を向け始めている。
実際に欧州では法的にも新しい結婚のスタイルが生み出されている。それは法律上の婚姻関係には縛られない“事実婚”の形態で、オランダでは「登録パートナー制度」、先進国で初めて出生率の上昇を実現したフランスでは「連帯市民協約(PACS)法」によるパートナーシップ契約、スウェーデンでは同棲に法的な結婚と同じ待遇を与える「お試し婚(サムボ)」という制度が設けられている。こういう今までの因習にとらわれない事実婚が実現してくれば、「パートナー探し」に対するとらえ方も変わってくるはず。
ところが日本で提供されている男女の出会いサービスには、その目的として「結婚」か「ナンパ(風俗)」の二つの選択肢しか用意されていない。しかし実際のニーズとして、「不真面目な遊びではないけれど、結婚を意識しないパートナー探しをしたい」と考えている男女は多いのではないだろうか?ライフスタイルが多様化してくれば、「パートナーとの関係や形態」にもいろいろあって当然で、これからは、必ずしも結婚を前提にしないで、さまざまなタイプの「パートナー(伴侶)探し」を支援することに商機があるはず。欧米ではその流れに沿って新たな出会いの仲介サービスが多数登場している。
(注目の新規事業一覧へ)
●欧米におけるデートサービスの動向
●ライフスタイル毎に成り立つ出会いビジネスの種類
●リアルな出会いの場を提供するサービスへの参入
●堅い人が副業として手掛ける出会いサービスは成功する法則
●心理学者が手掛ける科学的なマッチングサービス
●出会いに科学的な相性診断が求められる理由とは
●SNSの収益源として浮上する紹介報酬制度の仕組みとリスク
●変化する結婚観の中で急拡大する独身男性市場の特性と商機
●人間関係の多様化が生み出す新たな出会いサービスの方向性
●世界的に普及するスピード・デートの採算性と結婚仲介の専門職
JNEWS LETTER 2007.2.10
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