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新たな法人ビジネスとして狙える
従業員インセンティブ市場
written in 2006/12/8

 年末にはクリスマスやお歳暮などギフトの需要が拡大する。各小売店では一年のかき入れ時として、あの手この手のキャンペーンを企画しての集客に忙しい。12月以外でも、母の日やバレンタインデー、誕生日などギフト需要が発生するイベントは数多いが、これらの個人向けのギフトには約10兆円の市場規模があると言われている。

ところがそれと同等か、それよりも市場規模が大きいのが法人ギフトの分野だ。法人ギフトといってもあまりピンとこないかもしれないが、この中には顧客に配布される粗品や販促用などのセールスプロモーション用ギフトが含まれている。企業が費やす広告宣伝費の一部が法人ギフト市場とリンクしていることから、ギフト需要を狙いたい業者はもっと法人客に目を向けるべきだろう。

しかも法人のギフト需要は広告宣伝の用途ばかりでなく、社員向け福利厚生の分野ともリンクしている。社員の妻の誕生日に花を贈るという企業向けの福利厚生サービスを売り込んだフラワーショップが繁盛しているように、目の付けどころ次第では法人向けのギフト需要を新たに開拓することも可能だ。

そして欧米で次の法人向け市場として注目されているのが「従業員インセンティブ」に関連する分野だ。日本の会社でも従業員のやる気(モチベーション)を高める方法の一つとして各種の社内表彰制度があり、特別ボーナスや記念品を与えることはよく行われている。

しかしライフスタイルや価値観も多様化している昨今、人によって何を“ご褒美”とみなすかはそれこそ千差万別。従来のように、社名入りの腕時計やピンバッジを与えればよいということはもう通用しないだろう。「現金に勝るものはなし」という考えも根強いが、それだけでは社内が競争主義に陥って殺伐とした雰囲気になってしまう。経営者としては従業員の離職率を下げ、やる気を引き出して会社の業績向上へと結びつけることが課題であるが、そのためには新しい種類の“ご褒美”を社員に対して提示する必要があるのだ。そこでは単に高価な物品を与えればよいというのではなく、より効果的なインセンティブの設定方法も重要になってくる。

優秀な人材を確保、定着させることが生命線となる時代に、企業が従業員インセンティブに割く予算は人件費の数パーセントと言われているため、それを全体の市場規模に換算すると莫大なものになる。そこで欧米では、この市場に向けてギフト業者に限らず、多方面の業界から熱い視線が送られている。
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この記事の核となる項目
 ●米国にみる従業員インセンティブの動向と考え方
 ●ギフト業者から進化するインセンティブ・プロバイダ業者の実態
 ●多様化する従業員への報償制度に追随する法人ギフト市場
 ●ポイントカード化する従業員の報奨制度と新規参入のヒント
 ●従業員向けインセンティブカードの仕組み
 ●新たなインセンティブ賞品開拓のヒント
 ●インセンティブ投資の計測〜モチベーションマネジメント
 ●プレミア化する若者労働力に向けた求人戦略と人材ビジネス
 ●急増する電子社会の日雇い労働者と若年労働力の衰退が招く危機
 ●優秀な社員に時間報酬として与えられる在宅勤務制度の動き
 ●自由を望むスペシャリスト達の就労形態と労働環境の地殻変動
 ●企業の福利厚生としての採用が進む家族のケアと家事代行業


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