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趣味と実益を兼ねたコレクションへの投資による 資産の築き方 |
written in 2006/12/3
かつては趣味のコレクションに大枚をつぎ込むことは無駄遣いの代名詞であり、金持ちの道楽とされていた。そこからは何も新しい価値が生まれないと思われていたからだ。それよりは貯金をしたり不動産を購入したほうが堅実で賢いというのが常識的な考え方だろう。ところが最近では、その常識が必ずしも正しいとばかりは言えなくなっている。
昨今の“お宝ブーム”にみられるように、ガラクタにしかみえない中古のブリキ玩具に対して何十万円という高値が付くことも珍しくない。アンティーク玩具の相場に精通している人ならば、余裕資金を定期預金にするよりも、玩具のコレクションに回した方が投資効率が良いという考え方もできる。しかも趣味として楽しめるアイテムが資産となるのだから、まさに「趣味と実益を兼ねた遊び方」ということになる。
資産家や富裕層の中では、骨董品や絵画のコレクションに凝るという人も少なくないが、もともと金銭感覚にはシビアで蓄財ノウハウには長けた彼らには、趣味のコレクションへ投資することにもそれなりの思惑がある。家電製品や自動車など、普通の消費財(量産品)は買った瞬間からその価値が下がるもので、購入して即座に売っても7割程度にしかならない。ましてや所有している期間が長くなればなるほど、その価値はゼロに近づいていく。そのため、一般家庭が所有するすべての家財道具(自動車、家電製品、家具など)の資産価値というのは、合計で 150万円程度にしかならない。新型のクルマや大型の薄型テレビにいくら金をつぎ込んだところで資産にはならないのだ。
しかし趣味の品物には、古くなっても価値が落ちないばかりか、逆に高く売れるものもある。たとえば、フェンダーやギブソンなど有名ブランドの中古エレキギターをネットオークションで10万円で購入し、一年間自分が弾いて再度オークションに出品しても購入時と同額の10万円で売却することができる。それがもっと古い年式(1960年代)になると百万円以上、中には1千万円以上で取引されている機種もある。そうなると、これはもう“趣味の道具”という域を超えた“資産”と呼ぶにふさわしい。
もちろんすべての趣味人が自分のコレクションで資産形成をできているわけではないが、業者が巧みに仕掛けているお宝ブームに踊らされることなく、コレクター市場の相場を自分で先読みすることができれば、趣味を楽しみながらの資産形成も夢物語ではない。そして最近では、企業の事業としてもコレクション投資が注目されている。その動向と背景について迫ってみたい。
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JNEWS LETTER 2006.12.3
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