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  少子化によって玩具市場全体の売上が落ち込む中で、好調なのが「知育玩具」と呼ばれる子供の能力を開発することを目的とされた玩具である。その多くは木製でシンプルな構造になっているが、価格は数万円台と高い。それを主に製作するのは大手メーカーでなく零細業者という点がおもしろい。
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零細業者が手掛けやすい
幼児向け知育玩具のブランドビジネス
written in 2006/10/10

 携帯ゲーム機の「ニンテンドーDS」の国内販売台数が1千万台を超える大ヒットとなったことを受けて、玩具店はさぞかし好景気に沸いているだろうと思えば、決してそんなことはない。玩具の販路はホームセンターやディスカウントストア、アマゾンなど大手ショッピングサイトにまで拡大して、単に小売業としての玩具店(おもちゃ屋)は経営が立ちゆかなくなっている。子供の頃に、お年玉を握りしめて駆けつけた地元のおもちゃ屋の前を、帰郷して久方ぶりに通ったら既に廃業していたという寂しい思いをしたことのある人は多いだろう。

大型玩具店の進出により中小の玩具店は廃業に追いやられ、百貨店の玩具売り場でさえも精彩を欠いているという有様だ。またカテゴリーキラーの旗手であるトイザらスでさえも、店舗費用や人件費の負担が重いわりに携帯ゲーム機など売れ筋商品の採算性が低いために、2006年度中間期の売上高は 794億円に対して経常損益が15億円の赤字経営となっている。

《トイザらスの商品売上構成(2006年度中間期)》

 ・玩具……………………………17.5%(-1.3%)
 ・ベビー用品……………………32.2%(-0.9%)
 ・スポーツ用品、自転車……… 8.3%(-0.2%)
 ・電子ゲーム機・ソフト類……29.1%(+4.3%)
 ・教育玩具、絵本、文具類……11.9%(-1.8%)
 ───────────────────────────
  2006年度中間期の売上高……794億円(経常損失15.9億円)

 ※カッコ内の数値は前年との比較
 ※出所:同社決算資料より

《全国にある玩具店(おもちゃ屋)の推移》

 ・昭和54年…………17,812店舗
 ・昭和57年…………16,605店舗
 ・昭和60年…………14,775店舗
 ・昭和63年…………14,335店舗
 ・平成3年…………15,243店舗
 ・平成6年…………14,540店舗
 ・平成9年…………13,634店舗
 ・平成11年…………13,406店舗
 ・平成14年…………11,898店舗
 ・平成16年…………10,486店舗

 ※出所:商業統計(経済産業省)

これらの状況だけをみると、少子化の影響を受けて玩具業界は衰退の一途を辿っているようにも思えるが、自分の子や孫に対して「おもちゃを買ってあげたい」という気持ちが昔よりも劣っているというわけではない。むしろ、子供一人あたりに費やす、おもちゃの購入額は増えている。では、その消費がどこに向かっているのかといえば「ブランド知育玩具」と呼ばれる分野だ。

子供(孫)におもちゃを買ってあげるなら、少しでも発育や知能の形成に役立つ良い商品を選んであげたいというのが、親や祖父母の気持ちだろう。そこで、考える力や創造力の養うことができる知育玩具に対する人気が高い。これらは子供の体に害を与える危険が少ない木製のシンプルな構造になっているが、価格は1万円〜3万円と子供のおもちゃとしてはかなり割高だ。知育玩具の世界には“ブランド”が重視される風潮があって、それが価格を押し上げているのだ。ただしここでのブランド力は、バッグや時計などの高級品とは異なり、「知能の形成に役立つ玩具であること」の裏付けだ。

「知育」とは子供の頭を使わせる教育で、いま大人達の間で流行っている“脳トレ”と同じような発想や理論に基づくものだ。それと同様に「子供の脳力開発に役立つ」という裏付けのある教育サービスや玩具に対しては、現代では旺盛な需要がみられる。たとえば、3歳までの幼児に絶対音感が付けられるという教育サービスや玩具があれば、それに飛びつく親は多いだろう。人間の脳力は0〜3歳までの間に重要な部分が形成されるため、その時期に施された知育が将来に大きな影響を及ぼすという説は根強い。そこに着目したビジネスというのは、個人からでも手掛けやすい分野であることは意外と気付かれていない。
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この記事の核となる項目
 ●あらためて注目されるモンテッソーリ教育とは
 ●モンテッソーリ公認玩具の製造・流通経路について
 ●ブランド志向が強い木製の知育玩具市場
 ●欧州の厳しい安全基準が育てる知育玩具ブランド
 ●ブランド木製玩具の流通経路と業界構造
 ●急成長する脳トレ市場におけるビジネスのカラクリと潜在顧客
 ●大人が充実して遊べる趣味市場に向けた商機の掘り起こし方
 ●眠れる天才児を発掘・育成する教育ビジネスと潜在市場
 ●子供への投資として考える高級教育ビジネスの特徴と成長分野
 ●“大人化する子供”にフォーカスする子供向け新ビジネス


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JNEWS LETTER 2006.10.10
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