夏休みの過ごし方は、単に豪華なリゾートを楽しむのではなく、知性や感動を得られる体験をしたいという価値観へと変化している。家族向けには日常では味わえない特別な体験ができる各種のサマーキャンプが人気となっている。 (JNEWSについて
(知性+教育+感動)を商品にする子供向けサマーキャンプ市場

JNEWS
JNEWS会員配信日 2004/7/22

 バブル経済以降、リゾート市場は勢いを失っていたが、近頃になってまた少しずつ上向きはじめている。一般的な長期休暇の過ごし方といえば、家族での旅行や帰省などリラックスした時間を過ごすことが定番の様相だったが、最近では観光だけではない、自分磨き、自己啓発の機会として利用することが増えてきている。特に独身女性の「自分磨き」に対する関心は高く、休暇を活用した海外での資格取得やレッスン参加などを目的とした「おけいこ留学」市場は年々増加している。

この傾向は、独身女性だけのものではなく、ファミリー層にまでその考え方が拡大してきている。長期の休暇が取れる7月、8月には、日常の生活の中では実現できないことを体験させるプログラムが人気だ。といっても、国内のリゾート施設では、まだそのニーズを満たしてくれるプログラムが少ないため、親子で海外への1~2週間の短期留学を夏休みに行なう家庭も増えつつある。従来の海外旅行と異なるのは、ただのレジャーではなく、知性や教養を深めることに繋がる余暇活動にお金をかけたいと考えている点だ。

これは「カルチャーリゾート」と呼ばれる市場だが、その中でファミリー層向けに米国で充実しているのが「サマーキャンプ・プログラム」。あちらではバカンスが長いこともあり、教育に役立つ夏休みの過ごし方を提供することが、サービスとして成り立っている。日本でも、子供一人あたりにかける教育費が上昇している傾向を踏まえると、同様の課外キャンプが付加価値の高いレジャー、教育サービスとして成り立つ可能性がある。

【子供を軸としたサマーキャンプ市場の動向】

 米国の子供達は6月中旬~9月初旬の約3ヶ月間が夏休みとなり、その間はサマーキャンプと呼ばれる課外学習プログラムに参加することが多い。これは学校で経験できない体験や学習を提供するもので、総合的な内容のものから、スポーツや芸術活動に専門化されたものまで、多様なプログラムがNPOや民間業者によって用意されている。

日本でいう“キャンプ”といえば、野外にテントを張って、バーベキューをして楽しむ様子が想像されるが、米国ではそんなアウトドア活動だけではなく、子供や親達が興味を持つ分野プログラムに1日~数週間の単位で参加できる豊富なメニューが揃っている。

《●キャンプの種類:デイキャンプ》

「ディキャンプ(Day Camp)」とは、毎日通う形式のキャンプで、平日の朝から夕方までの日程で活動するスタイルである。1~2週間のスケジュールで、スポーツ、芸術、学習、郊外学習(遠足)など、各自が好きなプログラムを選んで参加できるようになっている。デイキャンプへの参加層は幼児(3歳児)~18歳までと幅広い層に向けたメニューがある。

《●キャンプの種類:オーバーナイト/レジデンスキャンプ》

「オーバーナイトキャンプ、(Overnight camp)」「レジデンス・キャンプ(ResidentCamp)」は、郊外の海、山などのキャンプ地に宿泊しながら開催されるスタイル。牧場体験や水泳、乗馬、スポーツなどその地を活かした1週間~2週間の期間に渡って集中的に行われるもの。参加者はデイキャンプより若干高めの設定で、宿泊ができる8歳児~18歳が主な参加者層となる。

デイキャンプとレジデンスキャンプを合わせて米国では約1万2千ものサマーキャンプが各地で開催されていて、毎年1千万人以上の子供および大人がキャンプに参加する巨大市場が形成されている。サマーキャンプの主催者は主にNPOや民間企業(キャンプ企画会社は約4千社)、ボーイスカウト、YMCAなどの団体、宗教関係者、牧場主やキャンプ場のオーナーなど幅広い。料金は内容によって異なるが、平均ではレジデンスキャンプが200~400ドル程度、デイキャンプは 75~300ドル程度の相場である。

キャンプ主催者は、プログラムの内容に合わせて各分野の専門家をスタッフとして配置している。必要なスタッフは、キャンプカウンセラー、プログラムの活動リーダー、スーパーバイザー、食事担当者、ヘルスケア担当者など多岐にわたりサマーキャンプ関連の雇用だけで、全米では約120万人の規模があるという。

《サマーキャンプ関連の雇用市場》

市場の拡大を受け、全米キャンプ協会ACA(The American Camping Association)では、同協会で定めた健康、安全性、プログラム品質など 300項目もの基準を満たしたキャンプを認定する活動や、認可キャンプへの資金支援を行うなどの活動を通じて、安全で楽しめるサマーキャンプ市場をバックアップしている。

ACA(The American Camping Association)

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・孫と祖父母とで参加するサマーキャンプ
・英才教育、起業教育を目的としたサマーキャンプ
・減量・ダイエットを目的としたサマーキャンプ
・子供向けサマーキャンプをマーケティング活用する企業の思惑
・課外キャンプサービスをビジネスにするための急所
・ゆとり教育時代に求められる、才能開発型教育ビジネス市場

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2004.7.22
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ

(注目の新規事業)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2004年7月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon