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テック業界の暴風雨で加速するビジネスモデル再構築

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JNEWS会員配信日 2022/11/28

 米国のテック業界では2022年初旬からレイオフ(解雇)の嵐が吹き荒れている。
当初は、コロナバブルが弾けて資金繰りに窮した未上場スタートアップからレイオフは始まったが、2022年後半からはGAFAを中心とした大手テック企業の業績も悪化していることが明らかになり、株価が急落したことを受けて、各社が従業員の大量解雇を実施しはじめている。

FacebookやInstagramを運営するMeta社(メタ)の収益構造は、98%が広告収入を占めているが、2022年7~9月期は前年比で売上が4%、営業利益が46%減少した。
株価も年初から70%の下落をしていることから、コスト削減策として従業員数の13%にあたる、1万1000人超を削減することを発表した。

《Meta社の収益 2022年7~9月期》

また、Amazonの2022年7~9月期も売上高は前年同期比で15%増となったものの、営業利益は48%減少した。eコマース事業だけでみれば赤字に転落しており、それをクラウド事業の Amazon Web Services(AWS)で補填している状況だ。eコマース事業の利益率低下は、前年までは年1回の会員向けセール(プライムデー)を年2回の開催にしたことと、エネルギー価格の高騰によりクライド事業の利益率も低下したことが理由と説明されている。Amazonでも、全従業員の約3%にあたる1万人の削減を計画している。

《Amazonの売上内訳(2022年7~9月期)》

さらに、Googleの親会社であるAlphabetも、売上高は前年比で6%増加したものの、営業利益率は前年比で32%→25%に減少した。その中でも、YouTubeの広告収入が前年よりも減少していることが投資家から悲観されて、株価は決算発表から15%の下落、2022年1月から11月にかけては40%近く下げている。

《Googleサービスの売上内訳(2022年7~9月期)》

Googleの収益も、広告収入が全体の9割近くを占めているため、インフレによる消費者の購買意欲の減退→企業広告費の削減という、負のスパイラルに陥りやすい傾向がある。そのため18.7万人いる全従業員のうち、パフォーマンスの低い約1万人を選別して、レイオフする可能性が報じられるようになっている。

Googleは、今でも高収益会社であることに変わりはないが、従業員の給料も最高の水準にあり、2021年の平均年収は29.5万ドルで、他のテクノロジー企業の平均と比較しても突出して高い。株価の下落により、投資家からのコスト削減圧力が高まることで、業績を落としている米テクノロジー企業の中では、一斉にレイオフを実行することで、不採算部門を切り捨てる行動が起きている。今回のレイオフの対象は、賃金が高いエンジニアやマーケティング職が中心となっている。

《GAFAのエンジニア職の年収水準》

これからの投資家の関心事は、米テック業界の不振が一時的なものなのか、それとも長期的なリセッションの始まりなのかという点である。レイオフの断行については、これまで過剰採用してきた人材のスリム化を図るためにもポジティブに捉えれられており、ビジネスモデルの修正や収益構造の変革に成功した企業が生き残ると考えられている。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・米国テック業界の業績動向について
・インフレによる消費者の購買行動の変化
・コロナ後に進行する小売業の増収減益パターン
・YouTube広告収入の減少が意味するもの
・広告収入から有料会員モデルへの転換トレンド
・レイオフされるテックワーカー向け就職支援
・レイオフ人材リストの共有による転職の流れ
・レイオフテック人材を有望視した出資プログラム
・AIロボットを味方に付けるフリーランスのリスキリング
・金利上昇局面のテック不況とエンジニアレイオフの状況
・最低時給引き上げの裏側で過熱する米国の起業トレンド
・中小事業で深刻化する人手不足の要因と労働市場の急変

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