Netflix暴落で見直される定額動画サービスの解約特性
「月額会費×会員数」が収益基盤になるサブスクリプション型のサービスでは、毎月の会員変動が「新規会員数>退会者数」であれば成長していくが、「新規会員数<退会者数」の状態が続くと、次第に衰退して事業の継続が難しくなっていく。そのため、退会者を増やさないための策を考えることは重要だが、退会率はサービスのカテゴリーによって特徴がある。
調査会社のAntenna社が、2021年に定額制動画配信サービスの動向を調査したレポートによると、この業界は同業者間の競争が激しくなっており、サービスを乗り換える視聴者も増えているため、月間の平均解約率は2019年には3%台だったのが、2021年には5%台にまで上昇した。大手業者10社の比較では、Apple TV+の月間解約率が10.4%と最も高く、最も低いのは Netflixの2.2%となっている。
動画配信サービスの集客は、無料トライアル期間の提供により新規登録者を増やし、無料期間の終了後に有料会員への移行を促す方法が主流だが、無料→有料会員への転換率は平均で60%以上と高い。パンデミック中は多くの映画配給会が、映画館で独占公開する予定だった新作映画をネットで配信したため、新規の有料会員が増えたが、コロナが沈静化していく中では、解約者も増えている。
動画配信サービスの解約率は、年齢が若くて、加入期間が短いユーザーほど高くなる特性がある。その点で、Netflixは大手サービスの中でも最も業歴が長く、加入期間が会員を獲得しているため、他のサービスよりも顧客のロイヤルティ(忠誠心)が高いことが「解約率の低さ」に繋がっている。それは、一度解約したユーザーが再び有料会員に戻る再入会率が、他のサービスよりも高いことからも裏付けられている。
今後の動画配信サービスの業界動向としては、価格面では、広告付き有料会員の新体系を作り、通常の有料会員よりも安価な月額料金プランを提示すること。コンテンツの充実については、同業他社と提携して番組作品を共有したバンドルサービスなどが検討されているが、それが解約率を下げる有効策とは言い難く、そのサービスでしか見られないオリジナル作品をヒットさせていくことが、会員顧客のロイヤルティを高めることに繋がる。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■JNEWS会員レポートの主な項目
・定額動画配信サービスの解約特性
・サービス分野で異なるサブスク解約率
・サブスクサービスの集客方法と顧客維持率
・サブスク型ミールキット業界の顧客特性
・クラウドソフトウェア(SaaS)の収益構造
・SaaS転換によるソフトウェア会社の成功例
・専門分野に特化したSaaSビジネスの開拓商機
・有望B2Bサブスク企業への投資方法について
・売らずに資源を循環させるサーキュラービジネス
・従量課金で収益化するPay-per-Useビジネスの参入点
・ヘルスケア・サブスクリプションビジネスの採算構造
・遊休時間を収益化する建設重機と医療機器のシェアビジネス
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2022.5.2
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
(ビジネスモデル事例)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2022年5月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。