コロナ禍で急増する返品詐欺の手口と対策ソシューション
全米小売業協会(NRF)の報告によると、購入後に返品される商品件数のうち、5.9%は不正または詐欺的な返品と推定されている。具体的な手法としては、他店で万引きした商品を返品する「盗品詐欺」、購入した商品を、偽物や故障品とすり替えて返品する「スイッチ詐欺」、電子製品の中から高価な部品を抜き取って換金した後、ダミー部品に差し替えて返品する「ブリック詐欺(Bricking)」など、犯罪といえる悪質な手口は次々と考案されている。
また、小売業者が設定している返品ポリシーを逆手に取り、新品の服を外出時に1~2回着用した後に返品する「ワードローブ詐欺」や、気に入った商品を一度返品した後、アウトレット品として安く再販されるのを狙って再購入する「オープンボックス詐欺」など、犯罪とは断定できないものの、不正な返品をする消費者も増えている。
《返品詐欺の種類》
- 盗品の返品詐欺
万引きなどの盗品を返品して代金の払い戻しを受ける。 - 価格の改ざん詐欺
購入時のレシートを偽造して、実際の購入額よりも高い返金を受ける。 - インサイダー詐欺
従業員を仲間として、盗品などを利用した不正な返金を受ける。 - 商品スイッチ詐欺
新品を購入した後、安価な中古品とすり替えて返品する。 - ブリック詐欺
電子製品の高価な部品を抜きとった後、ダミー部品に差し替えて返品する。 - チャージバック詐欺
商品の欠陥などを理由にクレジットカード会社に返金を依頼する。実際に欠陥は無くても、小売業者はカード会社に強い反論ができないため返金に応じるしかない。その後、偽物商品が返品されたり、返品自体が無いこともある。 - クロスリテーラー詐欺
ディスカウント店で購入した商品を、メーカー正規販売店に返品することで、購入金額よりも高額の返金を受ける。 - ワードローブ詐欺
購入した商品(衣類など)を外出時に数回着用して、返品する。 - オープンボックス詐欺
気に入った商品を一度返品した後、アウトレット品として再販されるのを狙って再購入する。
これらの詐欺を防ぐことは、金銭的な損害額を減らすだけでなく、ショップの信用を維持する上でも重要になる。返品された商品の再商品化については、中古品ではなく新品として扱うショップも多いが、再販売された商品の中に盗品や偽物が混入してしまうと、ショップの信用下落に直結するためである。
以下の映像は、100万人の登録者を持つユーチューバーが、キャノンの一眼レフカメラ(6000ドル)をアマゾンで購入したところ、パッケージの中身はカメラではなくレンガが入っていた様子が投稿されたもので、アマゾンの詐欺対策が杜撰である実態が、一般ユーザーに拡散されていった。
■Amazon SCAM with Canon 1DX Markii?
eコマース詐欺の分析を専門に行う「Merchant Fraud Journal」によると、海外ではeコマースサイトを狙った詐欺は、コロナ禍を転機として前年比でおよそ2倍に増えており、手口も巧妙化している。その背後には、組織化された詐欺集団の存在があり、クラウドソーシングサイト上で雇用主を装い、リモートできる仕事を求めるワーカーに商品注文させた後、詐取するケースが増えている。そのため、eコマース業界では詐欺被害を防ぐための対策システムが多数開発されるようなっている。
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