変化する消費者の価値観とストアブランドの商品開発
世界的にみても、価格と品質面からみてリーズナブルなPB商品を消費者が好む傾向は高まっており、メーカーブランド商品に対して「ストアブランド商品」としてのポジションを築き始めている。
プレミアム・プライベートブランドの具体例として、米国カリフォルニア州を中心として126店舗を展開するスーパーチェーンのRaley's Supermarkets(レイリーズ)では、定番の調味料などスタンダードな品揃えの「Raley's」、食品の安全性と鮮度が重視された「Raley's Purely Made」、グルメな高級食材を厳選した「Nob Hill Trading Co.」という3種類のストアブランド商品を開発している。
その中で、Raley's Purely Madeの製品では、最新の学術研究などで、人体に影響があると指摘される100種類以上の成分をリスト化して、それらが含まれた食品添加物を使用しない基準を設けている。これは、米食品医薬品局(FDA)が定める禁止成分リストよりも厳しいもので、加工食品の他に、農産物、食肉、魚介類などオーガニック生鮮品も対象品目としている。
■Raley'sスーパー店舗の紹介映像
ニールセンのデータによると、消費者の59%は食品の含有成分を把握することに苦しんでおり、食品メーカーがパッケージに表示する内容だけでは、安心できる商品を選別することが難しい。そこで、スーパーチェーンが独自展開するプライベートブランドとして、厳選された商品のみを提供することで、メーカーブランド以上の価値を創造できるようになる。
ニールセンは、米国のストアブランドを、低価格を追求したディスカウント商品から、高付加価値のプレミアム商品まで5階層にグループ分けしているが、2016年から2019年にかけては、低価格商品のシェアが減り、プレミアム商品のシェアが伸びていることが、データからも裏付けられている。
■THE RISE OF PREMIUM PRIVATE LABEL AND ITS IMPACT ON DISCOUNT RETAILERS
これまではディスカウント路線で成長してきた、全米で1800以上の店舗を展開するスーパーチェーンの「Target(ターゲット)」でも、2019年10月から「Good&Gather」というプレアムブランドを立ち上げている。このラインでは、人工的な香料、甘味料、着色料、糖尿病リスクが高い果糖コーンシロップなどは使用しない、2000品目の安全な食品を提供することを目指している。
Targetでは、10年ほど前からPB商品の開発に着手して、現在は食品、ペットフード、家具、子供服、下着などのカテゴリーで40種類以上のプライベートブランドを展開している。その中でも「Good&Gather」は、食品分野の旗艦ブランドとする戦略を立てている。
このように、自社ブランド商品の充実を急ぐ背景には、実店舗とネット(eコマース)が統合されて、独自商品を主力の収益源とした小売業の業界再編が迫っていることがある。これまでのように、ディスカウンター(割引屋)という立ち位置では、今後の業界で生き残っていくことが難しい。
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