気づかずに実質値上げされるシュリンクフレーション
ウィズコロナ、アフターコロナの経済は、デフレかインフレかという議論は各所でされている。消費者物価の推移だけを見ると、食料品や日用品の小売価格に大きな変動はない。しかし、新興国での需要増、天候不順、国際物流の混乱などによって、原材料の調達コストは年々上昇している。
では、メーカーはどのように価格と利益率のバランスを調整しているのかといえば、製品のサイズや容量を小さくすることで対応している。たとえば、ポテトチップスの価格は昔と変わらなくても、20年前の容量は90gだったのが、現在は60gに減っていたり、コンビニで販売される定番のおにぎりも、価格は据え置いたまま、100gを95gにすることで実質的な値上げがされている。
カルビーポテトチップスは、1975年に90gだった容量が2009年には60gに減量された。
このように、商品の容量を減らして実質値上げをする方法は、シュリンク(縮小)+インフレーションの造語で「シュリンクフレーション(shrinkflation)」」と呼ばれている。シュリンクフレーションは、食品の他に、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品にも起きているが、物価指数の統計値には表れない動向として把握しておく必要がある。
日本経済新聞社の調査機関、日本経済研究センターでは、日本国内の小売店で販売された食品のPOSデータ(約9000万件)から、小容量化・実質値上げのトレンドを分析している。その結果によると、食品の平均内容量は2002年から2019年にかけて12%減っており、容量単位の価格推移でみると、デフレマインドが高まる中でも、年率1.3%で商品の実質値上げをしていることが判明した。
■人口減が誘う「縮小型インフレ」(日本経済研究センター)
「価格据え置き、小容量化」型の販売モデルは、消費者が実質的には「損」をしていることになるが、少子高齢化が進む日本の世帯は、大容量のパッケージを使い切れなくなっている。そのため、表面的な商品価格の値上げ(インフレ)よりも、シュリンクフレーションは支持される傾向があり、小容量で高品質の商品を開発することが、今後の有望トレンドとされている。
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