小中高校で導入されるGoogle for Educationのビジネスモデル
グーグルは、公立と私立の幼稚園、小中高校、大学に対してオンライン授業に必要なアプリとデータ保管のストレージなどのクラウド環境を「G Suite forEducation」として、すべて無料提供している。そのため、現場の教員は実験的なオンライン授業を開始することが容易で、徐々にノウハウを蓄積しながら本格導入へと移行していくケースが多い。G Suite for Educationのユーザー数は、教員と生徒を合わせて、世界で8000万人以上に拡大している。
もともと、グーグルはオンライン教育市場の中では後発企業で、2010年頃までは米国の教室でも、マイクロソフトとアップルのデバイスが主に採用されていた。
そこへグーグルが、無料のクラウドアプリと激安価格の「Chrome book」で参入して、あっさりと市場を奪ってしまった形である。
しかいグーグルは、オンライン教育市場の中でほとんど利益を出していないが、どのように事業の収支を考えているのだろうか?
その答えは、「G Suite for Education」に含まれるアプリの大半は、企業のビジネス用途で販売されている「G Suite」と同じものであり、グーグルアプリの操作方法に慣れた子どもが大人になれば、ビジネスの現場でも自発的に「G Suite」を使うようになり、クラウド化されていくオフィスアプリ市場でのシェア率を伸ばすことができる。
直接的なライバルは、マイクロソフトの「Office 365」だが、市場調査会社のガートナーによると、2018年時点でマイクロソフトのシェア率は87.5%、グーグルは10.4%となっている。この状況を逆転させるには、子ども向けのオンライン教育市場での圧倒的なシェア率を獲得することが、先行投資を兼ねた有効策になる。
実際の教育現場でも、学習用アプリにかけられる予算は、生徒1人(端末1台)につき、年間で5~10ドル程度しか無いため、小中学校に対して「月額数ドル×生徒人数」のサブスクリプション課金をすることは難しく、今後も品質の高い無料アプリの使用が主流になるとみられている。
これから、小中学校向けのオンライン教育市場に参入したい中小業者にとっても、これらの状況を理解した上で、教育現場からニーズの高いサービスを打ち出していく必要がある。
日本でもGIGAスクール構想より、全国の小中学校で学習用PCを大量購入する需要が生まれるが、その調達形態は、各自治体の教育委員会がPCの機種を選定して、リース会社との賃貸借契約と、各端末の設定代行を専門業者に委託した後、地域の学校に納入されるルートになる。
PCの選定については、高性能、高価格の機種である必要は無く、不要な機能を省いた安価な機種を、時代に合わせて更新していくことを、文科省では推奨している。その点では、遠隔からの設定代行も可能で、ハードとソフトを含めた1台あたりの調達コストが最も安い「Chromebook」が、WindowsやiPadよりも有利とみられている。
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