中高生の受験勉強にもEdTechによる変革の波が起きている。スマホで映像授業を受講しながら、わからない点を個別指導のコーチにチャットで質問できるスタイルが、新たな勉強スタイルとして普及(JNEWSについてトップページ
EdTechに変革される学習塾のビジネスモデルと業界再編

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JNEWS会員配信日 2019/10/23

 日本の学習塾・予備校には約9700億円の市場規模がある。その構造は、生徒が通学しやすい教室のエリアによって商圏が分散されている。しかし、受験環境のオンライン化により、業界全体が再編されていく流れは避けられそうにない。

中高生の勉強スタイルとして普及しはじめているのが、オンライン学習塾・予備校の形態である。リクルートが運営している「スタディサプリ」は、小学生から高校生までを対象としたオンライン学習のプラットフォームで、中学生と高校生のコースで会員登録をすると、各5万本(5教科)の映像授業が自由に視聴できるようになる。

映像授業は一つの講義テーマを複数の単元に分けることで、1本あたりの映像は15~20分程度となっているため、スマートフォンからでも手軽に視聴することができる。授業を担当しているのは、大手の学習塾や予備校で実績のある人気講師が中心となっているため、要点をわかりやすく説明した、いわゆる“神授業”を、生徒は自分の理解度に応じて繰り返し視聴することが可能だ。また、授業に対応したドリル機能も用意されており、間違えた問題の自動分析も行えるため、定期テスト対策としても活用しやすい。


スタディサプリの利用体系は、ベーシックコースが月額980円ですべての映像授業が見放題となっており、学習塾の月謝(平均で約2万円)と比べると、衝撃的な安さといえる。ただし、映像コンテンツの欠点は、授業や練習問題のわからない所を質問できないことにあるため、担当コーチが付いて学習をサポートするコース(月額9,800円)も用意されている。コーチ役となるのは現役の大学生で、チャット形式で学習の悩みや、各科目の質問に対応している。

リクルートでは、これまでの収益分野(人材・住宅・結婚・旅行・飲食・美容)に加えて、スタディサプリを中心とした教育事業を、新たな収益の柱として育てており、2019年6月末の時点で有料会員数は74.1万人となっている。

また、2017年にZ会グループが買収した「アオイゼミ(2012年開始)」も、映像授業を主体とした中高生向けのオンライン学習塾だが、こちらは録画された授業に加えて、生ライブ授業にも力を入れている。人気講師の授業を、月~金曜日の19時からリアルタイムで配信するスタイルで、視聴中の生徒はコメント機能を通じて、講師に直接質問することができる。ライブ授業では、講師が生徒の反応をダイレクトに感じられるため、録画された授業動画よりも臨場感があり、質の高い授業を行うことができる。

アオイゼミの利用体系は、無料会員と有料のプレミアム会員に分かれている。無料会員はアプリに定期的なログインをしたり、各種のイベント(例:勉強時間を競う)に参加することでチケットを貰うことができ、そのチケットで希望の授業動画を視聴する方式だ。そのため、チケットの保有枚数によって、視聴できる動画の本数には制約がある。

一方、プレミアム会員はチケットを使わなくても、すべての授業動画が見放題となり、テキストのダウンロードや個別質問もできるようになる。1ヶ月の料金は3,600円だが、月あたりの単価が割安になる3ヶ月、6ヶ月、1年払いのコースも設けられている。無料と有料を合わせたアオイゼミの会員数は、2017年1月に30万人、2019年4月の時点で70万人を超している。

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