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食事形態を変えるミールキット開発の課題と参入点

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JNEWS会員配信日 2019/7/25

 内食と中食をミックスした新たなフードビジネスとして、海外では夕食の調理材料を箱詰めしたセットを宅配するミールキットサービスが5年程前から人気化して、2017年までには150社以上に増えている。サービスの内容は、サブスクリプション型で会員顧客を集めた後、週に1回のペースでレシピ付きの食材セットが自宅に届く。キット化された料理は、30分以内に作れることを想定した内容で、アレルギーやベジタリアン向けに配慮されたメニュープランも用意されている。

2012年に米ニューヨークで創業した「Blue Apron(ブルーエプロン)」は、ミールキットサービスの先駆けと言える存在で、2016年末の時点では100万人の会員顧客を獲得、年間8億6800万ドルの売上を達成して、株式上場を果たしている。

同社のミールキットは、レストランに近い食材を使いながらも、料金は1食あたり10ドル以内に抑えられているのが特徴で、家族2人用(週3回分の食事)のパーソナルプランが 59.94ドル/週、4人用(週4回分)のファミリープランが139.84ドル/週となっていた。このビジネスは、米国人の食事スタイルを変えるものとして大きく期待されたが、株式上場後は、業績が伸び悩み、現在の株価は15分の1にまで下落する不振に陥っている。

Blue Apron
■利用者のレビュー映像

Blue Apronが不振に陥った要因は、様々な角度からの分析がされている。同社のビジネスモデルは、新規顧客の獲得に、料理キットのお試し配布(無料)など高いコストを投じた上で、固定会員として利用期間が長くなるほど、収益性が向上する構造になっている。

しかし、利用者にとっては、どんなに美味しい食事でも、食べ続ければ“飽き”が必ず生じてくる。サブスクリプション型(定期購入契約)によるミールキットサービスの解約率は、当初の予想よりも高く、Blue Apronの会員数は、2018年の時点で55万人と発表されており、会員顧客の流失が止まらない状況だ。そのため、同社は、定期契約をしなくても、好きな時に、好きなミールキットを購入できるスタイルへの軌道修正を2018年から進めている。

また、ミールキットビジネスは、会員数の規模が大きくなるほど、食材の加工や物流の拠点となる施設への投資、そこで働く従業員の人件費が重くなる。さらに、eコマース型のミールキットは発送するための送料負担がかかることや、利用者側でも、自宅を留守にしている時にキットが届くと、生鮮品を傷めてしまう心配もある。そのため、ミールキット事業は全国をターゲットとして、規模の拡大を目指すよりも、地域密着したスモールビジネスのほうが適している面がある。

《大手ミールキット業者の問題点》
・メニューがマンネリ化して飽きられるのが早い
・凝った料理は、調理時間が長くなってしまう
・全国発送に対応する物流施設の設備投資、人件費が重い
・食材キットの送料負担が大きい
・留守宅での食材キット受け取り問題(生鮮品の劣化)

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JNEWS会員レポートの主な項目
・中小飲食店が衰退する理由と業態変換
・ミールキットサービスで変わる米国の食事事情
・ミールキットの仕組みとサービス体系
・大手ミールキット業者の欠陥と問題点
・細分化されて成長するミールキット市場
・レストランが開発するミールキットの利点
・店を持たないバーチャルレストランの業態開発
・バーチャルレストランの仕組みと採算構造
・中小業者が手掛けるバーチャルレストランの方向性
・働く女性の価値算定で浮上する料理代行ビジネス
・eフードビジネスによる中小飲食店の再生モデル

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JNEWS LETTER 2019.7.25
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