20~30代前半のミレニアル世代からは、商品の原価率を公開するネット直販型ブランドが支持されている。消費者は開示された各材料の原価や労務費の内訳と価格設定のバランスにより、信頼できるブランドを愛用するようになってきている。
原価率を公開するアパレルメーカーのブランド構築

JNEWS会員配信日 2018/3/23

 消費者からの支持を受けているD2Cブランドのキーワードに「Transparency(透明性)」がある。商品のできるだけ詳しい情報を開示することで、その商品を購入することの妥当性を判断してもらうものだ。その中でも、商品の原価率を正直に公開するブランドが急成長している。

2011年に米サンフランシスコで創業した「Everlane(エバーレーン)」は、自社開発した商品をネットで直販する D2C型の新興ブランドで、商品単価はコットシャツが35~50ドル、ジーンズが約70ドルと、従来のファストファッションと同程度に設定されている。中国や東欧などの提携工場に、商品の生産を委託しているのも同じだが、商品別に詳しい原価率を公開しているのが、これまでのアパレル業界には無い特徴である。


たとえば、68ドルで販売されているスリムジーンズは、生地の材料費(14.93ドル)、ボタンやジッパーなどの部品代(2.15ドル)、労務費(7.50ドル)、他の経費(4.06ドル)、輸送費(1.90ドル)という原価の内訳で、それに37ドルの粗利益を乗せして販売している。百貨店に店舗を構えるアパレルブランドは、原価に対して5~6倍の販売価格を設定しているが、Everlaneは原価の2~3倍に設定している。

《消費者に表示される商品価格例》

これまでアパレルブランドの原価率はベールに包まれていたが、消費者がその詳細を把握できれば、68ドルのジーンズが妥当な買い物であるか否かの判断がしやすい。人によっては、材料費が高いほど素材が良いと判断するし、労務費が高いことは、縫製技術が高いことの裏付けになる。このような原価率の開示は、価格に対して高品質の商品を求めている消費者にとっては、“信頼できるブランド”としての根拠になる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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JNEWS LETTER 2018.3.23
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