オンラインとリアルが融合する小売業のオムニチャネル
JNEWS会員配信日 2017/1/17
小売業の形態として、店舗とネット販売にはそれぞれ長短がある。実店舗は商品の魅力を対面で伝えることができるが、商圏は地理的な制約があり、1日の来店客数は多く見込めない。
ネット通販は全国が商圏になるが、同業他社との価格競争に陥りやすい。また、商品在庫を保管したり、発送作業をするためのバックヤードと人材が必要となるため、運営にかかる経費は実店舗とそれほど変わらない。そこで、これからの小売業は、実店舗とネット販売とを融合させたスタイルが理想になる。
2004年にカナダで設立された「Shopify」は、中小の小売業者がネットショップを立ち上げられるECプラットフォームとして、世界の小売業者から活用されている。現在は30万件以上の ECショップが立ち上げられており、総流通総額は 240億ドル(約1.1兆円)を超す規模に成長している。
Shopifの拡張機能には、専用のPOSシステム(Shopify POS)も提供されており、同じ商品を、店舗とネットショップの両方で販売して、どちらかで売れると、重複注文がされないような在庫管理をすることができる。タブレットにリーダーを差し込む方式のカード決済にも対応しているため、店舗の他に、トラックで巡回する移動販売や宅配サービスにも利用することができる。
これからの小売業は、同じ形態の店を各地に増やしていく「多店舗出店型」から、実店舗とネット販売を並行して行う「マルチチャンネル型」へとシフトしていくことになる。そこでの店舗は、近隣の顧客を迎える場所であることに加えて、オンライン販売のバックヤード(商品倉庫や配送センター)としての機能も併せ持つようになる。
さらに、大手の小売企業が目指すのは、店舗と自社サイトの他に、カタログ、スマホアプリ、街の電子看板、キオスク端末、IoTデバイスなども新な販売チャネルとして、消費者がどの媒体からで便利な買い物ができるようにすることだ。このような複数販路の融合は「オムニチャネル」と呼ばれている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
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