JNEWS会員配信日 2015/2/19
これまでのネットバンクに対するイメージは、店舗が無いこともあって、多額の資金を預けるのは不安という声も聞かれた。しかし近頃では、金利の条件が、都銀や地銀よりも良いことから、資金量を飛躍的に伸ばしてきている。その内訳をみても、定期預金の割合が高くなってきていることがわかる。
ネット銀行の中でも、急成長しているのが、「イオン銀行」で、2007年の開業以降、口座数と預金量を急ピッチで伸ばしている。そのバックボーンとなっているのが、全国で2300万人を獲得しているイオンカード会員の存在であり、その中で、クレジットカード、キャッシュカード、WAON(電子マネー)の機能が一体化した、「イオンセレクトカード」の保有者が195万人いる。
このイオンセレクトカード会員に対しては、普通預金の金利を、通常(0.02%)よりも0.1%上乗せする特典を与えている。
イオンは、もともとショッピングセンターとしての集客力が高いことから、その来店客に対して、毎月20日、30日は買い物代金が5%オフになるクレジットカード(イオンカード)の特典を提供しているが、そこからイオン銀行への誘導が行えるため、金融事業での集客コストが、他行と比べて圧倒的に低いのが特徴。その分は、金利上乗せの特典として顧客に還元することができる
さらに、イオン銀行の住宅ローン契約者に対しては、イオン店舗での買い物が常に5%割引になる特典も与えることで、小売業と金融事業との相乗効果を高めている。
また、ネット銀行の「店舗がない」という欠点に対しても、イオンのショッピングセンター内に、各種ローン、投資信託、保険などの相談をすることができる窓口(インストアブランチ)を設置することで、消費者の不安を解消している。
預金量が1兆〜2兆円というのは、第二地銀と同規模で、今後の成長率も加味すれば、新興のネット銀行が、中堅の地方銀行クラス(資金量3兆円前後)と肩を並べるのも遠くはないだろう。
各ネット銀行の収益構造は、商品構成によって異なっているものの、個人顧客から預かった資金を、企業向けの融資ではなく、個人向けローンとして貸し出すことに主軸を置いている。その中でも、住宅ローンは最も強化したい商品である。
地方銀行では、店舗にかかる固定費と人件費が、収益を圧迫していることに加えて、商圏を都道府県内に絞り込んでいるため、新規で顧客を開拓できる余地が少なく、今後の高い成長率は期待できない。
そのため、銀行の主力商品である「住宅ローン」で、ネット銀行が商圏を奪い始めると、銀行業界の再編を誘引する。さらに、オンライン住宅ローンの普及は、消費者が、ネット銀行をメインバンク化していくことへの契機となるだろう。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●地方銀行がネット銀行に負ける日
●オンラン住宅ローンの売り方と顧客層の選別
●カスタムメイド化する住宅ローン市場
●持ち家世帯の住宅ローン利用状況
●住宅ローン利用者の顧客価値と誘導ビジネス
●モゲージブローカーと銀行代理店制度
●日本版サブプライム危機への警鐘
●新たな自動車購入スタイルとローン金利設定のトリック
●株式投資よりもローリスクで1億円を貯める複利投資スタイル
●住宅ローンの負担を軽減する方法とマイホームの収益化計画
●株式よりも安定利回りを狙う社債投資と中小企業の資金調達
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.2.19
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