JNEWS会員配信日 2014/6/14
日本では「借金(ローン)は罪悪」という風潮が根強く残っているが、景気の指標としては、消費者のローン残高が伸びていくほうが「消費マインドが高い→景気が上昇」と歓迎されている。
米国では、マイカーの購入時にローンを利用する人が8割以上で、各種のローンサービスも充実しているが、日本と仕組みが大きく異なるのは、個人の信用状況によって金利の格差を付けていることである。信用はクレジットカードの利用歴(クレジットスコア)によって判断され、その優劣によって同じローンでも、6〜9%もの金利差がある。
自動車メーカーが新たな顧客層として開拓したいのが「大学生」である。彼らは、まだ経済力に乏しく、米国でもクレジットカードの保有率が低い層だが、将来のエリートになる可能性を秘めていることから、マイカー購入の援助をすることで、優良顧客に育てることができるかもしれない。
米国の大学生向けて積極的な支援をしているのが、韓国メーカーの Hyundai(ヒュンダイ)で、大学を6ヶ月以内に卒業する者、または卒業して2年以内の若者を対象にした「ヒュンダイ・カレッジプログラム」として、特別な割引制度やローンの条件を提示している。
また「BoostUp.com」というサイトと提携して、ヒュンダイの新車を購入したい人への資金を援助している。BoostUpは、車や家の購入、結婚式、旅行などを計画している人が、必要な資金を給料天引きで貯めていくことができるサイトで、購入計画を家族や友人に通知するソーシャル機能を備えており、身近な人達からの寄付を募ることができる。さらに、メーカーやディーラーがスポンサーとなって、貯蓄額をブーストしてもらえる。
たとえば、新車ローンの頭金として2000ドルが必要な場合、自分の貯蓄と家族等からの援助で1500ドルが貯まれば、残りの 500ドル分は、ヒュンダイがブースト(上乗せ)して、新車購入の目標を達成することができる。
もう一つの事例として、米自動車メーカーのDodge(ダッジ)では、若者が憧れの新車を購入するための方法として「Dodge Dart Registry」というサービスを昨年、実験的に行った。これは、米国で普及しているギフトレジストリーの仕組み(誕生日、進学、就職、結婚祝いなどで欲しいギフト品を、受け取る側が指定して身近な人に通知する機能)を、自動車にも応用したものだ。
■この記事の主な項目
●買いやすさを演出する残価設定ローンのトリック
●支払い方法のさじ加減による利益操作の方法
●顧客によって金利が異なる米国ローン事情
●大学生向けのマイカー購入支援サービス
●ソーシャルファンディングによる新車販売の手法
●超高級車をタイムシェアリングする発想
●タイムシェアクラブの運営モデル
●カーシェアリングへの不満と改善モデル
●ソーシャル社会の信用力として活用されるクレジットスコア
●安全コストを意識したカーシェアリング事業の採算と転換期
●小売業→レンタル→シェアリングサービスへのビジネス転換
●マイホームをシェアすることで住宅ローンをゼロにする方法
● 自家用ジェット機の販売に学ぶ分割オーナーシップ制度の仕組み
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2014.6.14
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●シェアリング経済で豊かに暮らすネオシェアラーへの成長過程
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●ステップ別に考える起業資金の調達方法とベンチャー事業
●秋入学前の「夏休み」を活用した米大学生のリクルート活動
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