JNEWS会員配信日 2014/4/30
売り手と買い手の取引を仲介するビジネスの世界には、片手取引、両手取引という言葉がある。その典型例といえるのが、不動産業界で、不動産業者の仲介手数料は、法律によって上限が「取引額の3%+6万円(消費税別)」と決まっている。上限とはいえ、これが業界の標準レートだ。
3,000万円の物件では「96万円」の手数料になるが、これは「売り手」または「買い手」の、どちらか一方を相手にした場合(片手取引)であり、同じ業者が、両方の仲介者となって取引を成立させると、両者からの手数料(合計で192万円)を受け取ることができ、これが「両手取引」と呼ばれている。
日本の不動産取引では、仲介業者の両手取引が認められているが、それでは、買い手、売り手どちらかに偏った仲介をして、片方に不利益な取引を成立させてしまう懸念が指摘されている。
一方、米国の仲介業者は、「バイヤーズ・エージェント」「セラーズ・エージェント」という立場に分かれて、片手取引が主体に行われている。エージェントの役割は、クライアント(売り手、または買い手の一方)の立場となって先方との交渉を有利に進めることである。仲介手数料は、売り手が買い手に支払う購入代金の6%を、双方のエージェントが折半(3%+3%)する形だ。
ネット上のコミッション型フィービジネスとしても、個人間取引の仲介サイトが新規事業として流行っているが、これは商品在庫を抱える必要が無く、取引額に対して、一定率の手数料収入を得られるためである。ただし、買い手・売り手に対して、どのように手数料の設定をするのかで、サイトの収益率が変わってくる。
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●手数料ビジネスの「片手」と「両手」について
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●個人取引サイトの収益構造と手数料体系
●クラウドワーカー仲介市場での手数料設定の考え方
●フリーマーケットを起点とした小売ビジネスの新形態と個人売買
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JNEWS LETTER 2014.4.30
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