JNEWS会員配信日 2013/11/21
フェイスブック、スカイプ、LINEなどはフリーミアムで成功した企業といえるが、それらに共通しているのは、いずれも独自の機能を提供して、短い年月で安定シェアを獲得していることだ。そのタイミングが遅れると、類似の無料サービスが多数登場してシェアが分散するため、収益化に失敗してしまう。
料金フリーには、大量のユーザーを誘因する効果があるが、爆発的な集客力があるという程ではない。そこで成功事例をみると、ユーザーが友達を招待したり共有できる仕組みを上手に組み込んでいる。
2007年にスタートした、オンラインストレージサービスの「Dropbox(ドロップボックス)」は、2012年に登録ユーザーが1億人を超え、2013年11月には2億人と、飛躍的な成長をしている。
同サイトの利用体系は、2ギガバイトまでが無料で、それよりも大きなストレージ容量を使う場合には、有料プランにアップグレードするようになっているが、全体の96%が無料ユーザーで、有料ユーザーは4%前後とみられている。有料への移行率は決して高いわけではないが、その代わりに、ユーザー全体の母数が加速度的に増える仕組みが導入されている。
《Dropboxの料金プラン(個人向け)》
■Dropbox(ドロップボックス) https://www.dropbox.com/
※日本語にも対応
ドロップボックスには、無料プランのままでもデータ容量を増やせる仕掛けが用意されている。これは、友達を同サービスに招待すると、一人につき 500MBのストレージ容量が無料で追加される特典で、最大で32人の友達を招待することができる。ツイッターやフェイスブックのアカウントと接続することでも 各125MBの容量が追加される。
また、友達や仕事仲間とファイル共有できる機能を充実させているのも特徴で、ストレージの用途を、「自分専用のデータ保管庫」としてだけではなく、他ユーザーと共有させることで、新規ユーザーの獲得に結びつけている。
《Dropboxのファイル共有イメージ》
ストレージサービスのように、「無料→有料プランへの移行」によるフリーミアム型のビジネスを成功させるには、以下のような条件に合致する必要がある。
●数万人〜数千万人規模の無料ユーザーが獲得できるサービスであること。
●無料サービスを提供するコストは、限りなくゼロに近いこと。
●無料プランと有料プランの差別化がしやすい機能や仕様があること。
●ユーザーサポートに手間とコストがからないサービスであること。
サービスの立ち上げ時点から、無料サービスの中に有料オプションの選択肢を加えておくことにより、無料→有料への移行率を確かめることができる。それが全くゼロならば、「有料商品としての価値無し」ということになるが、数パーセントでも有料への移行者がいれば、無料ユーザーの母数を増やしていくことで、収益化の見通しが立つようになる。
●フリーミアムに露呈する問題点についての解説
●フリーミアムが成功する条件と判断基準
●無料アプリの健全なアイテム課金モデル
●子どもの代金をフリーにするレストランの集客モデル
●有料サブスクリプションとフリーミアムの融合モデル
●フリーの客を優良顧客へ誘導するサブスクリプションの重要性
●定期購買制で躍進するサブスクリプションショップの成長軌道
●タダ飯をふるまうレストランと食い逃げをする客の駆け引き
●キッザニアの成功戦略にみるエデュテイメント事業の仕掛け方
JNEWS LETTER 2013.11.21
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