JNEWS会員配信日 2013/7/13
衣料品やアクセサリーを移動販売するファッショントラックは、厨房設備が必要なフードトラック(飲食業)に比べると、複雑な改造をする必要が無いことから、ファッションに興味のある女性の起業手段として推奨されるようになってきた。
ファッショントラックを開業するのに必要な資金は、商品在庫を除いて1.5万〜3万ドル(150〜300万円)。できるだけ安く中古のトラックを購入、車内を店舗(売り場)に改装して、外観は目立つようにラッピングを施すことなど、自分でできる作業はDIYで行うことが、個人起業者の平均的なスタイルだ。
買い物客が多い観光地や、主婦が多い住宅街などの出店場所を開拓して、ツイッターやフェイスブックで情報発信をしながら移動販売をするため、人気のショップになると一日に 100件前後の購入客がいることから、開業して1〜2年で実店舗を持つことも目標に掲げられる。
ただし、ファッショントラックを成功させるには、百貨店や量販店では売っていない、“一品ものの商品”を扱うことがポイントで、ハンドメイドのアクセサリーや、センスの良い古着などを扱っているトラックが多い。
「West Coast Mobile Retail Association(WCMRA)」は、カリフォルニア州を中心としたファッショントラックの業界団体だが、その中では、既にファッショントラックで成功している起業者が、コンサルタント役として、開業の支援も行っている。
ファッショントラックによる成功者の多くは、大学卒業後、アパレル企業などで経験を積んだ後に独立した、優秀な女性が多く、商品の仕入れ先開拓から、マーケティングの手法まで、理論的な事業モデルが構築されている。彼女達の中では、起業のスタート段階には、曜日、時間帯、シーズンによって繁閑の差が激しい実店舗に資金を投じるよりも、機動力のある移動販売から始めたほうが、起業の成功確率は高くなる、というのが共通した意見。
フードトラックにも共通していることだが、ファッショントラックにとっての最大の課題は、「出店場所を確保すること」である。路上や公園など、公共スペースでの出店には、行政の許可を得る必要があるため、「移動販売=規制下に置かれたビジネス」という側面もある。
WCMRA のような業界団体が結成されているのも、同業者が団結して、行政への規制緩和を訴えようとする目的が大きい。
しかし、許可を受けられたからといって、幾つかの出店地を毎週巡回しているだけでは、ファッショントラックの売上は、それほど伸ばすことができない。それ以外の収益源となっているのが、ホームパーティ、企業パーティ、その他のイベント会場などへ出店することである。そのため、ホームページには、パーティ会場への出店リクエストのフォームが必ず用意されている。
そこでの急所は、パーティのホスト役やイベント主催者へのメリットを与えることだ。具体的には、来場者が商品を購入した売上の一部が、リベートとしてバックされる仕組みが提示されている。ファッショントラックが全米で躍進している理由は、これらのリベート制度にある。
●米国で急増するファッショントラック起業者
●ネット・移動・実店舗による3系統の販売モデル
●ファッショントラックの開業コストと採算について
●ファッショントラックの出店地開拓とパーティ販売
●ファッショントラック誘致による副業モデル
●ファッショントラックのサービス業への応用
●iPadを活用したセミセルフサービス店舗の登場
●iPadで構築するPOSレジシステムの可能性
●家賃なしで好立地に出店するワゴンショップのビジネスモデル
JNEWS LETTER 2013.7.13
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