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  紙の雑誌出版社にとって、電子書籍は従来のビジネスモデルを変える好機と捉えることができる。米国では電子化された雑誌が、紙よりも単価を高く設定することにより、新たな収益構造を築こうとしている。
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電子出版で変わる消費者の購買スタイルと
広告マーケティング
written in 2013/3/21

 電子書籍のビジネスを構築する上で大切なのが、出版業界の流通構造を理解しておくことだ。日本は再販価格制度により、本の定価販売が義務付けられているが、米国では、それに類似する制度が無いため、本の値段は小売店側で自由に決めることができる。

そのため、大手書店のバーンズ・アンド・ノーベルでは、年間25ドルを支払って会員になると、店内のほとんどの商品を10%オフから20%オフで購入できる特典を設けている。また、売れ残った在庫本を1ドル程度で販売する書店もある。

これは、米国の国土が広く、本を全国に流通させるコストも高くて、在庫のリスクを書店が負っていることに起因しているが、その分だけ、書店側の利益率も高めに設定されている。

週刊、月刊のペースで発行される「雑誌」の場合には、書店側の粗利益が50%程度もある。しかし昨今の出版不況により、雑誌は売れなくなってきているため、継続して読みたい人は、出版社へ直接、定期購読の申し込みをすることで、年間の購読料を大幅に割り引いてもらうことができる。

「Magazines.com」は、米国で出版される雑誌の定期購読契約ができるプラットフォームだが、たとえば、人気のゴルフ雑誌「Golf Magazine」は、年間12冊分の定価が59.88ドルのところ、年間の定期購読料はわずか「10ドル」で、じつに83%もの割引率になっている。



これだけの値引をすれば、採算は合わないはずだが、定期購読者が増えれば、誌面の広告収入を増やすことができるため、「購読料が赤字でも、広告収入で帳尻を合わす」というビジネスモデルへ傾倒する出版社が増えているのだ。

《米国雑誌出版社のビジネスモデル》

 

しかし、広告収入に依存した雑誌は、記事の質を落としていくことにもなるため、出版社は、雑誌を電子化することにより、ビジネスモデルの再構築を図るようになってきた。電子雑誌は、1ヶ月程度の無料配信期間を設けて、それを過ぎると定期購読へと移行する方式が主流で、紙版よりも高い収益が期待できる。

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この記事の核となる項目
 ●電子版へシフトする米国出版ビジネスの動向
 ●電子リーダーを無料配布する電子雑誌の販促活動
 ●電子版と紙版を共存させる新聞社の事情とは
 ●ローカル電子広告の新たなビジネスモデル
 ●電子書籍をレンタルできる図書館の貸出システム
 ●個人出版によるインディーズ作家の台頭
 ●電子出版における配本取次業者の役割とは
 ●電子書籍で生計を立てていくための視点と注意点
 ●iPadユーザーに向けた電子書籍の出版方法と取次ビジネス
 ●電子書籍で儲けるのは誰なのか?メジャー契約から個人出版へ


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