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オープンソース化する食ビジネスと
中国人のレストラン経営術
written in 2012/11/4

 禁煙法に加えて、高級レストランに生じているもう一つの影響は、オープンソース化の波である。従来、料理人の世界には師弟関係があり、師匠の元で何年かの修行をした後に独立する流れになっていた。料理の内容についても、現場で覚えるのが普通で、レシピがマニュアルのようにあるわけではない。

ところが最近では、ネットで様々な料理の写真やレシピが共有できるようになり従来のような師弟関係とは違った、新世代の料理人が登場しはじめている。彼らは伝統的なスタイルを、良い意味で崩しながら、斬新な料理を提供しはじめている。欧州でいま注目されているのは、フランス料理、イタリア料理、スペイン料理、さらに日本料理などが融合した創作料理である。

世界一予約の取れないレストランとして有名になった「エル・ブジ」は、1963年にドイツ人が、スペインのカタルーニャ州にオープンさせたが、1980年代に若い音楽プロデューサーが新オーナーとして、店を買い取り、当時22歳のフェラン・アドリアという料理人を雇ったことから、伝説がスタートする。

二人は、伝統的なフランス料理に、自分たちのオリジナリティを加えた創作料理を生み出し、「カタルーニャに、今までにない料理を作る若者がいる」という噂が噂を呼ぶようになり、1997年には、ミシュランの三ツ星を獲得して、世界中から注目されるようになった。店のサイズは45席で、1人あたり 285ユーロ(約3万円)の設定だが、年間200万件もの予約が入ると言われるまでに人気となった。

■エル・ブジ
  http://www.elbulli.com/

さらに、エル・ブジの特徴は、独自に開発したレシピを隠そうとするのではなく、他の料理人に教えたり、共有することにより、さらに料理を進化させていったことにある。エル・ブジのレシピ集は、本としても多数出版されている。

エル・ブジには将来のシェフを目指して、35名のスタッフが常時働いていたが、現在スペイントップのレストランと言われる、「ジローナ」のジョアン・カン・ロカはじめ、世界的に注目されるシェフの数々が、「エル・ブジ」の卒業生である。

エル・ブジの料理が人気になるにつれ、他のレストランも、エル・ブジを真似た料理を作るようになった。 それが「新スペイン料理」としての評判を高めて、
カタルーニャ地方には多くの人気レストランがあり、それを目当てに多くの観光客が集まるようになっている。

《レストランにおけるレシピ共有の効果》

 

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この記事の核となる項目
 ●世界に広がる禁煙規制と飲食店不況の関係
 ●オープンソースへと向かう料理の革命
 ●エル・ブジが伝える日本料理の魅力
 ●中国人が経営する日本料理店の実像
 ●多国籍化する食文化の広がりと日本料理の進化
 ●料理人が目指す新たな専門家としての方向性
 ●欧州で人気化する鑑定士養成スクールとは
 ●多国籍社会の中で浮上する飲食業への不満と新スモールビジネス
 ●ヤワな日本人には太刀打ちできない一触即発の食糧危機
 ●本物の日本食を世界に広めるビジネスモデルとフード 2.0
 ●高級サービスをウリにした隠れ家的商売と自宅店舗の採算
 ●料理に対する知識とノウハウを売る料理研究家として起業モデル


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