ビジネスモデル事例集
  
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  自動車を所有する必要がないカーシェアリングは利用者から人気だが、その運営業者側では、車両の調達資金や管理にかかる負担をどのように軽減していくのかが、事業の急所になる。そのため大手のシェアリング業者が、中小の業者を買収して経営基盤を強化する動きも見られるようになってきた。
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車両資産の調達と管理がキモとなる
カーシェアリングの採算
written in 2011/2/1

 レンタル業の採算は、仕入れた商材を何回貸し出すのかによって決まるが、シェアリングサービスでは「何人でシェア(共有)するのか」が重要になる。カーシェアリングは、1台の車を少人数でシェアするほど、利用会員の使い勝手はマイカーに近くなるが、その分だけ、利用料金は割高にしないと採算が合わない。そこで、車両の稼働率を見ながら、会員に不便さを感じさせないようにシェア人数を増やしていくところがポイント。

《シェア人数の違いによる長所と短所》

  

営利で行うカーシェアリングサービスは、数十名の会員で1台の車をシェアするのが一般的だが、Zipcarの総会員数と保有車両数の割合でみると、およそ60人の会員で1台の車をシェアしている計算になる。シェアする人数が多すぎるようにも思えるが、その中で頻繁に利用している会員は半数以下であり、車の空き状況をネットやスマートフォンからリアルタイムで確認できるため、大きな混乱は起きていない。

さらに、利用者の側でも車をシェアすることで、行動の予定を計画的に立てる習慣が身に付き始めている。たとえば、買い物に行くための車の利用を2時間と決めてから、その時間内に買い物を済ませるには、どの店に行くのが最も効率的なのかを考えるようになっている。

それでも、帰り道で渋滞に巻き込まれて、車の返却が遅れるようなケースでは、自動応答のコールセンターに電話して、次の予約者が付いていなければ、そのまま時間延長することができるが、予約者が付いている場合には“遅延ペナルティ”として、1時間あたり50ドルが加算される仕組みになっている。それを避けるために、利用者は時間通りに車を返却することを優先課題として行動をする。

いまのところZipcarでは、乗車した時と同じパーキングに車を返却しなくてはならないルールになっているが、パーキングの拠点が増えてくると、往路の目的地で車を一旦返却して、復路は別の車を借りて自宅まで戻るということも可能になる。すると、車の利用時間は、外出の総時間数ではなくて、実質的な乗車時間だけで済むこととなり、今よりも更に利用料金を下げることができるし、多くの会員で車をシェアできるようになる。

《往路と復路に分けたシェアカーの利用》

  

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この記事の核となる項目
 ●1台あたりの共有人数で決まるカーシェアリングの採算
 ●往路と復路に分けたシェアカーの利用方法
 ●Zipcarによるカーシェアリングの特徴
 ●提携・合併へと向かうカーシェアリング業界
 ●資金調達がキモとなるカーシェアリングの事業モデル
 ●分割所有方式によるシェアリングモデル
 ●多分野に広がる共同所有クラブの仕組み
 ●時間の価値を加えたタイムシェアリングの発想
 ●開発費の負担率で考える知的財産のシェアリング
 ●マイホームをシェアすることで住宅ローンをゼロにする方法
 ●安い家賃で優雅に暮らすルームシェア・ゲストハウスの台頭
 ●脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
 ●スーパーカーを切り売りするビジネスモデルの研究
 ●モノを売ることから転換する脱物質化ビジネスモデルの胎動


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