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団塊オヤジはなぜ
ハーレーダビッドソンに夢中になるのか?
written in 2008/2/3

 経済の法則では「消費者は興奮するほど購買意欲は上昇する」ことが実証されている。その商品を目の前にすると、心がトキメクとかワクワクするというのは、軽い興奮状態にあるわけだが、これはまさに熱狂的な心理の入り口と言える。更にそこから巧みな演出や仕掛けによって、顧客を“虜”にすることができれば、巷で騒がれている消費の低迷やサブプライム問題も気にすることはない。

顧客を虜にすることに成功している企業としては、大型バイクメーカーのハーレーダビッドソン社がある。バイク乗りなら誰もが憧れているのがハーレーで、その価格は他社のバイクよりも2倍以上。1000ccの日本製バイクなら新車の価格は100万円前後だが、ハーレーなら車体が200万円以上で、そこから更に 100万円程度かけてカスタマイズを施すのが流儀である。それにも関わらず、米国市場はもちろんのこと、日本の大型バイク市場(750cc以上)でもホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキを抜いてトップシェアを獲得している。これはバイクの性能云々よりも、ハーレー狂のバイク乗りが国内にもたくさん存在していることを示している。ハーレー社の売上高は全体で6000億円規模の会社だが、熱狂的ファンの強い支持によって、自社よりも規模が大きなライバル他社を引き離しているのだ。

《北米大型バイク市場のシェア率》

  

ところが同社も最初から熱狂的なファンを獲得していたわけではない。ハーレー・ダビッドソン社の創業は1900年代前半で、当初は馬車の代わりとなる商用バイクを郵便省などに納めることで事業の礎を築いた。第一次、第二次世界大戦の時代になると軍用バイクを製造、終戦後はバイクレースで好成績を上げることによってバイクメーカーとしての地位を確立していった。ところが1970年代になると日本メーカーが新型4気筒エンジンを搭載した高性能バイクで米国市場に参入、しかも低価格で攻めてきたためにハーレー社の経営は次第に悪化して、一時は機械メーカーに買収されるところまでに陥った。この時代にはバイクに限らず、安価で高性能をウリにした日本製品によって駆逐された米企業が少なくない。

そのままの経営を続けていれば、ハーレー社も過去のメーカーになってしまったわけだが、同社はそこで経営方針を一新して、価格競争で採算が合わない小型バイク部門はすべて廃止、750cc超の大型バイクを専業とする路線へと変更した。
しかも最高速度をサーキットで競うようなスポーツ仕様の方向性も切り捨て、ハイウェイでの快適走行を目的としたツーリングバイクへのこだわりに特化したのである。

日常の足としてはクルマが普及している現代では、1000ccの大型バイクで近所に買い物に行くことはないし、通勤をすることもないだろう。それでもハーレーに乗りたいという気持ちを湧き起こさせるには、バイクの実用性よりも「ハーレーを所有する喜び」「ハーレーに乗る楽しさ」「ハーレーを通じた仲間とのふれ合い」などを創出することに主眼を置き、“ハーレーこそが生き甲斐”という熱狂ファンを生み出している。同社ではそれを「ライフスタイルマーケティング」と位置付けている。
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この記事の核となる項目
 ●熱狂顧客に支えられたファンクラブ組織
 ●ファンクラブを軸にした音楽アーティストの収入源
 ●熱狂的ファンの育成を意識した企業と顧客の関係
 ●団塊オヤジはなぜハーレーダビッドソンに夢中になるのか?
 ●ハーレーダビッドソンを生き甲斐にする熱狂ファンの作り方
 ●ハーレー社が熱狂顧客を育てる仕掛け
 ●ファンクラブ運営代行ビジネスへの着目
 ●熱狂消費者の不信を生み出す広告の功罪
 ●ブログ専門広告会社のビジネスモデルと口コミの報酬体系
 ●熱狂の裏側にある過激な消費者のマイナス行動とは
 ●厳選した人にしか送付されない富裕層雑誌のビジネスモデル
 ●マスコミがストッパー役になる口コミ伝達力の意外な法則
 ●ロングテール市場に求められる超専門性の築き方と商圏法則
 ●顧客を「オーナー」と呼ぶことで生み出せる商機と新ビジネス
 ●報酬条件によって変わる口コミ情報の信憑性と真の口コミ伝道師
 ●意図的な口コミマーケティングと相互リンク文化の弊害


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JNEWS LETTER 2008.2.3
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