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個人ユーザーを協力者にした 気象情報ビジネスの収益構造 |
written in 2009/10/15
深夜の寝静まった頃に長い揺れを感じて、どこかで規模の大きな地震が起こったのだと気付き、慌ててテレビを付けてもニュース速報はまだ流れていない。数分後には震度情報が画面に表示されるが、知りたいのはもっと詳しい各地の被害状況で、それがわからないと翌朝の出勤時刻や交通手段を決めるのに困るという人は多いだろう。
そんな時に頼りになるのは、テレビよりもネットで、しかも新聞社のサイトよりも個人が書き込みをするブログや掲示板のほうである。その中でも、140文字以内で手軽に書き込みができる「Twitter(ツイッター)」は速報系の情報サイトとしても活用されている。災害時でもネットや携帯の電波が繋がる場所からなら、「地震」や「台風」のキーワード検索により、他のユーザーが投稿した内容から各地の被害状況を、テレビやラジオよりも早く知ることができる。
防災情報に限らず、リアルタイムで情報が欲しいというニーズは次第に高まっている。株式投資や為替取引(FX)をしている人なら、チャートを眺めていたら急に相場が思わぬ方向に乱高下して動揺したという経験は少なからずあるはずだ。そんな時には、市場でいま何が起きているのかリアルタイムでわかれば、冷静に売買の判断をして、損失を被るリスクを低くすることができる。
時代のスピードがこれだけ速くなると、情報をキャッチするタイミングが少し遅れるだけでも、ビジネスや生活の中で影響が生じる場面が多くなる。“ネット検索ならグーグルで”というのが定番だが、グーグルは、キーワードに対して質の高い情報を掲載するサイトを上位からランキングするため、「いま接近中の台風について最新情報を知りたい」というような速報を検索することには不十分なのだ。
そこで、リアルタイム情報で優位に立とうとするサービスが幾つも登場してきている。ホームページへのアクセス数を増やす方法として、検索ロボットが情報を拾いやすいようにサイトのレイアウトや記述を最適化したサーチエンジン対策(SEO)が叫ばれるようになって久しいが、じつは企業や商店では、長い時間をかけてページ更新を続けながら検索順位を上げていくよりも、今週末に開催するイベントやセールの集客をしたいという、短期の効果を期待する声のほうが大きい。
消費者もイベントに駆けつけたいのは山々だが、会場付近の道路が渋滞して到着までに何時間もかかったり、既に目当てのセール品が売り切れてしまっているようなら、外出にも二の足を踏んでしまう。しかし、最近ではiPhoneのようなモバイル端末に向けて速報サービスを配信することで、行動の決断に迷っている“浮遊層の消費者”を上手に誘導することが可能になっている。
いまや個人ユーザーの情報収集は、パソコンの前に向かったままの自宅やオフィスから外に出て、自分の目や足で特ダネを拾い、それをネットの仲間にも口コミするスタイルへと変化してきている。それが具体的にどんな仕組みで成り立っているのかを見ていくことにしよう。
(ビジネスモデル事例集一覧へ)
●個人を発信源とした速報メディアの台頭
●通信社のビジネスを脅かすマイクロブログ
●1枚の写真から引き出せる情報の価値
●写真に埋め込まれた位置情報からの来店動線
●拡張現実で変わる消費者の情報収集と購買行動
●セカイカメラで実現するリアル店舗の新たな宣伝手法
●個人の情報網を活用した気象情報会社の新ビジネス
●個人ユーザーを活用したゲリラ雷雨の観測システム
●ビジネス to サポーターによる情報ビジネスの形
●クラウドビジネスが変革するネットユーザーの意識と業界地図
●情報の信用度を選別する検索エンジンと生き残れるサイトの条件
●携帯カメラからの画像(写真)検索がリアルビジネスに与える衝撃
●写真撮影代行サービスを情報ビジネスへと昇華させる視点
JNEWS LETTER 2009.10.15
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■この記事に関連したバックナンバー
●クラウドビジネスが変革するネットユーザーの意識と業界地図
●リアルタイム性を身につけたソーシャルメディア革命の影響力
●遠隔からの常時監視によって実現させる環境モニタリング
●気象情報と医療情報が結びつく医学気象予報に向けた新市場
●プロとアマの境界線を越えたビデオカメラマンの新ビジネス
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