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ETCのビジネスモデルと 暗号化された車載器番号の価値 |
written in 2009/3/25
高速道路の料金引き下げでは、休日の高速道路が乗り放題で1000円ということの他にも、様々な割引プランが用意されているため、上手に活用すれば、従来よりかなり安い費用で長距離の家族旅行ができるようになる。
日本のETCシステム(ノンストップ料金収受システム)は2001年からスタートして2004年頃までは利用が伸び悩んでいたが、その後は各種のETC割引を充実させることで利用者を増やしており、2009年3月の時点では高速道路を走行する車の77%がETCを装着している。ただしこの数字にはウラがあって、ETC搭載車の数はようやく2700万台と超えたところ。つまり、全国の自動車保有台数(7500万台)からみたETCの普及率はまた36%と意外に低い。
《高速道路におけるETC利用率の推移》
- 2001年……… 0.9%
- 2002年……… 3.8%
- 2003年………12.7%
- 2004年………25.5%
- 2005年………54.2%
- 2006年………64.7%
- 2007年………71.0%
- 2008年………75.4%
- 2009年………77.0%
└→実際のETC搭載車は2700万台(普及率36%)
※出所:国土交通省
この数字からわかるのは、高速道路を頻繁に利用する車のETC搭載率は高いが、高速道路をあまり利用しない人なら、わざわざ自腹を切ってETCを装着する必要はないと考えている様子である。そこで国交省では、四輪車で 5,250円、二輪車で1万5750円の助成金を今後のETC購入者(100万台を対象)に支給して普及を推進している。
しかし、国がそこまでしてETCを普及させたい意図はどこにあるのだろうか。一つは、高速道路の利用率をもっと高めたいことがある。同じ目的地へ行くのにも、高速道路の利用率が高くなれば、一般道の交通渋滞や事故の減少に加えて、CO2 排出量の削減効果が期待できる。さらに本音を言えば、高速道路を整備延長する計画が進めやすくなる。
そしてもう一つの意図として検討されているのは、高速道路以外でもETCを活用することだ。ETCは有料道路の料金決済を有人で行なわずに、ノンストップで自動化できるシステムだが、これを逆手に考えると、一般の国道や県道を特定の日時だけ有料化することもできるようになる。これは「ロードプライシング」というもので、交通渋滞が深刻な地域への自動車乗り入れを“有料化”によって抑制することができる。シンガポールなどでは実際に行なわれている方法だが、交通量が多い東京都も導入の検討がされている。ETCは道路の料金体系や割引率を柔軟に変更して電子決済することができるために、設定のさじ加減一つで自動車の流れを自由にコントロールすることができるわけだ。
そうしてみるとETCというのは、通過するだけで課金が可能な“自動の財布=電子マネー”をクルマに付けたようなもので、その料金決済権を国が握るという図式が出来上がることになる。これが従来の自動車税に次ぐ新たな財源ルートとして見込めるのであれば、多少の割引や助成金を支給しても惜しくはないだろう。
つまりETCに莫大な利権があるということで「どうせまた国ばかりが…」という批判の声もあるが、じつは民間の企業でもETCのインフラを活用したビジネスを展開できる門戸は開かれている。そこに参入するための仕組みと発想について学んでみよう。
(ビジネスモデル事例集一覧へ)
●ETC社会の到来で何が変わるのか?
●シンガポールに学ぶETCのビジネスモデル
●ETCの仕組みと車載器番号の情報価値
●ORSEを起点とした道路課金の流れ
●民間企業におけるETCビジネスの展開方法
●自動車電子マネー化するETCカードの覇権争い
●次世代のエコライフスタイルを提示する「自転車」への期待
●電気自動車(EV)が示唆する新たなモータリゼーションの波
●脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
●クレジットカードのポイント特典は誰が払っているのか?
●環境問題が後押しする「あいのり」通勤ビジネスへの商機
●社長が新型ベンツに乗り換えられる理由とクルマの所有形態
JNEWS LETTER 2009.3.25
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