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知的職業をチェーン化した
フランチャイズビジネスの収益構造
written in 2008/2/16

 従来の脱サラといえば、会社に勤めていた時とは仕事の内容をガラリと変えて新しい世界にチャレンジするようなケースが多かった。開業希望者向けのフランチャイズビジネスでも、飲食店経営、ホームクリーニング、介護サービス、軽運送業など、大卒のホワイトカラー職しか経験したことがない者にとっては、全くの畑違いという分野が多く、これも独立に躊躇している理由の一つといえるだろう。

一方、米国ではフランチャイズビジネスのトレンドが変化していて、「店を経営する」というよりは「自宅をベース(オフィス)にして開業できる事業」の人気が高いことに加えて、高学歴者が得意とするような「知的職業のフランチャイズ化」が進んでいる。そのわかりやすいイメージとして、脱サラのために難関の資格試験に合格したものの、その資格を使って独立するにあたり、どのように顧客を獲得してオフィスを経営していけばよいのかわからないという人はたくさんいる。そこで特定分野の知的スペシャリストを加盟店として募り、具体的なサービスの商品内容や、営業方法のマニュアルなどを提供するビジネスが成り立つのだ。日本でも“知的スペシャリスト”に該当する資格保有者としては、弁護士、税理士、司法書士、建築士、薬剤師などが挙げられるが、彼らの中で独立している人の割合は意外と少なく、せっかくの資格が十分に活かせずに眠ってしまっている。

《難関資格保有者の開業率》
    資格保有者開業件数(開業率)
    ・税理士
    ・弁護士
    ・司法書士
    ・社会保険労務士
    ・一級建築士
    ・薬剤師
    ・医師
    ・歯科医
    ・宅建取引主任者
    約 70,000人
    約 16,000人
    約 17,000人
    約 31,000人
    約320,000人
    約240,000人
    約270,000人
    約 95,000人
    約750,000人
    約29,000件(41%)
    約10,500件(66%)
    約12,000件(70%)
    約19,000件(61%)
    約41,000件(12%)
    約51,000件(21%)
    約97,000件(36%)
    約66,000件(69%)
    約190,000件(25%)

      ※開業件数は各事業所数の統計を集計した概算値

また、開業を実現した資格保有者も、それで安泰というわけではない。知的職業の独立に関して全般的にいえるのは、事業の規模が個人または零細企業であるために、集客のための営業活動や宣伝広告ができない、新しい専門知識や業界情報の取得が単独では難しい、といった悩みを抱えている。

もともと知的職業というのは、自分の知力を商品としているために、製造業や小売業のように大勢の社員を雇って仕事を組織化することが難しい反面、多額の設備投資や運転資金を必要とせずに、売上に対する利益率が高いという特徴がある。そのため知的スペシャリストの独立開業は、“自分だけが頼り”ということになるのだが、自分で時代の流れに沿ったマーケティングや新サービスの開発ができる“商売上手な人”というのは意外と少ない。さらに同業者間の競争も厳しいことから、自営業者としての立場は維持しながらも、経営のサポートをしてくれるような拠り所が必要とされているのだ。
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この記事の核となる項目
 ●高齢化社会で破綻するサラリーマン人件費の構造
 ●サラリーマン人件費の内訳からみた給与以外のコスト
 ●増税時代に対抗したサラリーマン法人の発想
 ●サラリーマン法人の仕組み(鈴木家の場合)
 ●サラリーマン法人の仕組み(山本家の場合)
 ●知的職業に広がるフランチャイズビジネス
 ●難関資格保有者の数からみた開業者の割合
 ●不動産ブローカーに看板を貸す不動産FC会社
 ●会計のスペシャリストをフランチャイズ化するビジネス
 ●会社を維持するためのコスト感覚と資金繰り改善ビジネス
 ●米国税金還付サービスにみる知識開発会社のビジネスモデル
 ●社長よりも高収入を稼ぐスペシャリスト職の台頭と報酬体系
 ●個人事業化するエグゼクティブ層を支える裏方ビジネス
 ●不動産業界にみるプロフェッショナルとしての在宅ワーカーの仕事


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JNEWS LETTER 2008.2.16
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