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カッコイイ車に乗らないと損をする マイカーリースのカラクリ |
written in 2007/5/26
デジタルカメラというのは約1年サイクルで新機種が登場する。いま使っているカメラに大きな不満はなくても、画素数の向上や、魅力的な新機能が追加された新モデルを見てしまうと、つい買い換えたくなってしまうのがカメラ愛好家の心理だろう。人気のデジタル一眼レフカメラの価格は十万円前後と高価だが、それをモデルチェンジのたびに買い換えるというユーザーは多く、さぞかし購入資金の工面が大変だろうと思いきや、彼らなりの賢い算盤勘定があってのことらしい。それは中古カメラの“残存価値”というものに基づく考え方である。
デジタル一眼レフの売れ筋は新品の市価が約8万円前後だが、これを約1年間使った後に現行モデルの中古としてネットオークションに出品すれば6万円前後で売却できる。つまり最新型のカメラを1年間にわたって使った実質的な価格(購入価格−売却価格)は約2万円ということになる。大人の趣味として1年間遊んだ代金が2万円なら安いものだという価値観だ。
この考え方に基づくと、自分が欲しいものを買う時には、購入時の価格だけでお買い得かどうかを判断するのではなく、その製品が数年後の中古品になった時にどれだけの価値が残っているのか(=残存価格)も合わせて考えなくてはいけないことになる。同性能のカメラがA社とB社、二社のメーカーから発売されていたとして、A社のカメラは人気が高いために割引率は低くて8万5千円。ところがB社のカメラなら不人気のために7万8千円で買える。しかし数年後の中古市場でB社のカメラは不人気で大幅に価値が下がってしまう(残存価格が低い)と予想できるのなら、新品時の価格は高くてもA社のカメラを買っておいたほうが“安い買い物をした”ということになる。
このような買い物スタイルは、オークションのような中古品の換金市場が普及する前にはあまり意識されないものだったが、近頃では中古品の流動性が高まったことにより「モノの残存価値」が重視されるようになっている。カメラの話はほんの一例だが、廃棄寸前のゴミにならない限り、中古商品には必ず残存価格が存在している。そこでメーカーや小売店では、この残存価格を上手に利用して新しい商品の売り方や値付けができないだろうか?という試みが色々と試されている。最近テレビCMでもよく見かけるようになった自動車の個人向けリースプログラムでも、この残存価格の仕組みを活用したものだ。顧客は月々数万円の負担だけで3年ごとに新車に乗り換えることができ、メーカーやディーラーでも損をしない仕組みは、どのように成り立っているのかを学んでみよう。
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JNEWS LETTER 2007.5.26
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