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無料新聞の登場に揺れ動く 新聞社のビジネスモデルと収益構造 |
written in 2005/2/24
長年をかけて権威ある地位を築いてきたマスコミ媒体に少しずつほころびが見え始めている。テレビ局の買収を狙うネット企業が現れるのは時代の潮流といえるが、さらに深刻な変化を水面下で感じ始めているのが新聞や雑誌など紙媒体のメディアである。
国内で毎日の新聞が発行される部数(一般紙)は約4千7百万部。これは全国の世帯がおおよそ一紙の新聞を定期購読している数字を示しているが、核家族化して世帯数が増加している傾向からすると、新聞の購読世帯数はジリジリと下落しはじめている。特に若い世代では新聞を購読しない世帯が増えている。
《1世帯あたり新聞購読率の推移》
| 全国の世帯数 | 新聞の発行部数 | 一世帯の購読部数 |
1993年 | 4307万世帯 | 4607万部 | 1.06部 |
1995年 | 4423万世帯 | 4651万部 | 1.05部 |
1997年 | 4549万世帯 | 4726万部 | 1.03部 |
1999年 | 4681万世帯 | 4728万部 | 1.01部 |
2001年 | 4801万世帯 | 4755万部 | 0.99部 |
2003年 | 4926万世帯 | 4728万部 | 0.95部 |
2004年 | 4983万世帯 | 4746万部 | 0.94部 |
※「新聞の発行部数」はスポーツ紙を含まない一般紙の部数
※出所:社団法人日本新聞協会
新聞の有料購読者が減少傾向にある要因としては、若者を中心とした活字離れもあるが、ネットを見れば大方のニュースはほとんど無料で閲覧できることも影響している。現在の新聞業界が抱えている大きな矛盾は、有料で販売される朝夕刊の新聞(紙)よりも、無料で閲覧できる新聞社のWebサイトのほうが早いタイミングで豊富な記事が閲覧できる点にある。これでは消費者側にとっては、有料で新聞を購読することの意味が薄れるばかりだ。
しかし現在の新聞社サイトは、ほとんどが企業スポンサーからの広告収入によって運営されている。そのためサイトのアクセス数(訪問者数)を維持、伸ばしていくことが大前提であり、サイト上では無料で記事を公開して訪問者数を集めることが常套手段となっている。
Webサイトでの無料閲覧者が増えたところで、本業である有料紙の購読者数が減ってしまったのでは元も子もないのだが、その背後には新聞社のビジネスモデルをIT社会の中でこれからどう進化させていけばよいのかという大きな課題が隠されている。さらにその弱点を突いた新ビジネスの動きもあり、紙媒体の情報メディアには変革の波が訪れようとしている。
(ビジネスモデル事例集一覧へ)
●購読料と広告料の狭間で揺れる紙メディアのビジネスモデル
●大手新聞社の収益構造について
●インタラクティブ化する新聞広告の新しい流れ
●世界的に展開される無料新聞ビジネスの波
●大手新聞社も狙い始める無料新聞のマーケット
●ニッチ分野を狙うフリーペーパー事業の急所
●無料化で生き残りをかける雑誌出版社の苦しい戦い
●厳冬の時代を迎える出版業界の構造(業界を変革する新たな挑戦)
JNEWS LETTER 2005.2.24
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